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スラップ訴訟(と被告が主張する)裁判傍聴記

水道橋博士により一躍脚光を浴びつつある、「スラップ訴訟」。とある訴訟で被告が「これ、スラップ訴訟だ!反訴する!」と行動した裁判の傍聴記事になります。

「スラップ(SLAPP)訴訟」とは
富裕な個人や大企業などが学者やジャーナリスト、市民組織に対して起こす、批判や反対運動を封じ込めるための威圧的な訴訟を指す。

ハフポスト「富豪や大企業が起こす「スラップ訴訟」言論の自由萎縮を懸念し、英政府が撲滅を模索」より


スラップ訴訟、最近有名なのはこちらですね。

ここではこの話は紹介程度に留め、私が実際に出向いた裁判傍聴の感想を書いておきます。

22年4月22日(金)、東京地裁に出向きました。
↓↓こちらの最後に書いた裁判傍聴のためです。

たまたまTwitterで発見したこの裁判。

この煽りを受けて、傍聴ライターを名乗っている以上は取材に行かねば、と思い出向きました。

この裁判ですが、自民党・世耕議員を原告とし、青学・中野教授に対する名誉棄損の訴訟、それに対し「スラップ訴訟だ!」と中野教授が反訴原告になる形で裁判が続けられています。

反訴理由の記者会見(2020年9月25日)からの記事はこちら↓↓

記事中を読むのが面倒な方はこちら↓

ことの発端は、中野教授が2018年と2019年7月、"世耕氏が統一教会の関連団体に所属していた"という内容のツイートをしたことだ。

2019年8月当時、現職の経産大臣だった世耕氏は、これらのツイートが、名誉毀損にあたるとして、中野教授を相手取り、損害賠償150万円のほか、ツイッター投稿記事の削除、ツイッターへの謝罪文掲載をもとめて提訴した。

反訴状などによると、世耕氏は、関連団体に所属したことはなく、「統一教会に対して、反社会的な団体であるとの印象を抱くものが少なくない」ことから、社会的評価を低下させるものであると主張している。

一方、中野教授側は、所属ではなくて、政治思想の類似性を指摘したものであり、そもそも"自民党の有力な支持母体"であることから社会的評価を下げず、もし社会的評価を下げたとしても真実性・真実相当性がはたらくとして反論している。

●「言論が萎縮させられてしまう」
さらに中野教授側は、世耕氏の提訴そのものが「恫喝ないし嫌がらせに主眼を置いたスラップ訴訟である」として反訴した。

(1)ツイッターの投稿は、公共の利害に関する内容で、もっぱら公益を図る目的であり、(2)関連団体に所属していたという言論が、長年繰り返されてきたにもかかわらず、世耕氏は一度も公的に否定しておらず、(3)対抗言論もなく"不意打ち的"な提訴だったと指摘している。

中野教授は司法記者クラブの会見で「一般市民政治家に対する疑惑を述べたときに証拠をもっていないことはある。そういったことをツイッターに書くことがむずかしくなる。かなり(言論、表現の自由が)萎縮させられてしまう」と語った。

上記より引用・※印は当方追記

うーん…
この中野教授の主張中、太字の箇所にかなり無理があるように感じるんですよね。

今も残る、世耕議員の指摘を受けた元ツイがこれ。


先ほどの太字部分の繰り返しになりますが、「政治思想の類似性を指摘したもの」でなくて、言い切ってますよね…その他の太字の主張にも、かなり無理があると考えられます。

有田さんが言われる通り、「政治家批判」に該当するかどうか甚だ疑問のある、中野教授の元ツイですよね。
そして。

そうですそうです、私もそう思ってます。
事実であるかどうかが基本ですよね。

世耕議員の立場に立ってみれば、無料SNSに転がっている自分を揶揄する内容を、確証を持たずに引用リツでもとツイに被せてきてそれが事実でなかった(とした)ら、そりゃー怒るでしょう。

中野教授は、「一般市民が政治家に対する疑惑を述べたときに証拠をもっていないことはある。そういったことをツイッターに書くことがむずかしくなる。かなり(言論、表現の自由が)萎縮させられてしまう」」と言うんですが、2点疑問が生じてしまうんですよね。

1.「大学教授」という社会的地位の高い方は、果たして「一般市民」に含まれるのか。社会的影響を考慮し、慎重な発言を求められる職種では。

2.公人に対し、疑惑があれば根拠のない疑惑であってもなんでも発信していい、という考え方は、言論、表現の自由を濫用しているのでは。

これら疑問があって少し無理がある主張になりつつあった本件ですが、裁判は原告の世耕議員側がヘタを打ちました。
訴状で、「『統一教会に対して、反社会的な団体であるとの印象を抱くものが少なくない』ことから、社会的評価を低下させるものである」と主張してしまったんですね。
教授側が「勝機あり」と判断したのか、上記のような反訴が行われました。

話がどんどん別の方向に行ってて。

反訴時のプレリPDF最終ぺージでは、

・個⼈的事実の真偽については現在も「疑惑」にとどまる。払拭したければまず公⼈⾃らが公的に釈明すべきことである。
・この⼀点を盾にとり、⼀私⼈を攻撃するために提訴を⾏うのは不当である。裁判制度の悪⽤であり、⾔論の萎縮をもたらすSLAPP訴訟である。

プレスリリース配布資料より引用

うーん…

原告が統一教会に所属したのかの、個人的事実の真偽に関する訴訟について、反訴時は原告側がそうでないなら釈明を行うべきものだ、と主張が成り代わりました。
そして「スラップ訴訟だ!!」と断定。
更に、21年の2月には、ここまで持ち込みました。

裁判所も、訴訟自体が不法行為かどうかについて、
「訴訟自体が不法行為かどうかが争われているところ、それはさまざまな事情を考慮して判断されるものであり、反訴原告が重要だとして挙げている点については事実関係については少なくとも(原告は)反論してください、法律上の主張についても反論頂ければ参考にします」との(裁判所からの)訴訟指揮…

第7回口頭弁論の報告 Posted on 2021年2月6日 by Office
「中野昌宏先生を応援する会」編集より抜粋

ここまでが前置きで。
無理やり感ある主張含めて、このような訴訟を裁判所がどう判断するのかは非常に興味があって、冒頭の煽りを受けて出向いたんです。

反訴原告の言う通りに議員本人は来たかって?
いえ、影も形もなく。
それどころか、

ここで書かれている、
③世耕議員側の「証拠申出に対する意見書」の提出
④中野先生側の上記「証拠申出に対する意見書」に対する意見書の提出
については、③が裁判の2週間前、④が裁判数日前に互いに交換したとのことで、内容について吟味できておらず特にその場での主張なし、でたった10分程度で終了。

冒頭の煽りは何だったのか…わざわざ行ったのに…という状況で、


とお送りしましたが、ご本人・関係各位からのご返信はなし。

勝手に来たんだろう、ということなのでしょうが、スルーされた側としては、随分とマイペースに人を巻き込み、ご説明も行わない方だなー、という感想を持ちました。

訴訟費用…

もう少し、共感できる点あれば。喜んで協力したんだけどなあ。。。
完全スルーじゃ、進んで協力したいと思えなくなりました。

ただ、訴訟に金がかかるのは、実家(父)が市民運動の走りからずーーっとやってきた訴訟の数々を承知しているので、私の批判的記事にかかわらず、フラットな視点で強力したい方は上記ツイートからぜひ協力をどうぞ。

ということで、どうやら次回の訴訟では…

という話になっているらしいですが、私はもういいや。
議員がもう敗訴でいいや、と思ったら、来やしないだろうから。

長々と書かせていただきましたが、この話のまとめ。

どっちにも共感感じない。極端と極端のぶつかり合い。
原告は老害なのか、統一協会員が社会的評価をさげたと決め付けるし、反訴原告はもともとのツイート直後に、エビデンスを出すことが出来ず証明できてない。
それぞれの主張の繰り広げ方、不信感しか感じない。
おまけに、反訴原告はマスコミ煽りをして、煽った検証や報告はなし。信頼なくすよこれ。

信用信頼って大事だと思った件
でした。


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