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ヘッジファンド列伝①「ビッグダディ」アルフレッド・ジョーンズ
こんにちは、金融ブロガーの本郷マサシです。
梅雨の蒸し暑さもあってかめっきり食欲なしです‥
他の物には目もくれず、そうめん・冷麺・冷やし中華にお世話になりっぱなしの僕ですが‥みなさまは元気にお過ごしですか?
さて、先週ちょうどヘッジファンドの投資手法についてお話しましたが、そもそもみなさんヘッジファンドがいつ頃出来たかご存知ですか?
日本では近年やっと一般に知られるようになったという段階ですから、何やら新しい投資集団という印象を持っている方もいらっしゃるのでは?
そこで今日はヘッジファンド誕生にまつわる小話をご紹介しようと思います。
「5月末の相場を引っ張った海外ヘッジファンド勢」
「ヘッジファンドなど短期筋の売りが入り…」
など。マーケット関連の記事ではちょこちょこ目にする「ヘッジファンド」ですが、固有名詞で語られることって少ないですよね。でも、実はヘッジファンドオーナーの中には、強烈な個性と果敢な行動力を兼ね備えた固有名詞で語られるべき魅力的な人物が少なくないんです。
そんなわけで今日ご紹介するのは、ヘッジファンド大物中の大物、その礎を築いたアルフレッド・ジョーンズをご紹介します!
「金融業界のアウトロー」ジョーンズの半生
◆隆盛を極める大河の源流◆
21世紀に入りグローバル化・資本のボーダーレス化が急速に進展、マーケットには巨額のマネーが流れ込み、金融デリバティブ市場は500兆ドルを超える規模にまで膨れ上がりました。流れに乗り、投資銀行など既存の勢力を出し抜いて巨利を得たのがヘッジファンドです。
もちろん収入もけた違いです。アメリカでは投資銀行トップの高額報酬がたびたび批判されますが、ヘッジファンドオーナーたちの報酬はゴールドマン・サックスやシティCEOのそれと1桁違います。彼らは、NBAプレーヤーやハリウッドセレブをはるかに上回る一獲千金を実現してしまったわけです。
ヘッジファンド‥この21世紀の寵児は意外なことに決して新しい存在ではなく、その誕生は70年前にまで遡ります。
◆投資銀行・ビジネススクールの経験なし◆
ハーバードビジネススクールを優秀な成績で卒業、モルガンで運用経験を積み‥など。ヘッジファンドの「ビッグダディ」とも称されるジョーンズは、そんなきらびやかなキャリアとは無縁の人生を歩んできました。
学生時代から放浪癖のあったジョーンズは、卒業後は不定期貨物船に乗り込み、その後もバイヤーや統計分析など無為に職を転々。
大戦前夜のヨーロッパに渡ったジョーンズはレーニン主義に染まり、反ナチ運動に加わります。その後はスペイン内戦に参加、巨匠ヘミングウエイトと出会いスコッチを酌み交わした‥とされています。
◆ジョーンズがヘッジファンドを立ち上げたワケ◆
ヨーロッパ放浪後、アメリカに戻ったジョーンズはジャーナリストに転身、フォーチューン雑誌に社会主義と保守主義の融合について提唱した記事を投稿、といった活動を続けました。
1948年、同誌の執筆依頼から金融界に触れる機会を得たジョーンズは、「ファンダメンタルズに関係なく、投資家心理で株価は動く」との想いに至ります。
当時、子どもを2人抱え浪費癖が強いジョーンズにはお金が必要でした。試行錯誤を繰り返した挙句、48歳にしてようやくたどりついたのがヘッジファンド立ち上げというワケです。ヘッジファンドの礎を築いた男は、金融の世界にさほど興味があったわけではなかったのです。
20年間に50倍にまで膨れ上がたファンド
ジョーンズのファンドは、ブロード街(ウォールストリートの一角)にある1部屋半のさびれたオフィスでスタートします。部屋はタイプライターを置いた机、ティッカーテープ、そして昼寝用のソファーで埋められました。
友人からかき集めた出資に自己資金を加えて10万ドルでスタートしたファンドですが、その後の運用実績は史上例を見ないもので、20年後にはなんと50倍にまで膨れ上がったのです。
ジョーンズが編み出した「空売り」「レバレッジ」「成功報酬制」は、今でもヘッジファンドの根幹を支えています。金融業界のアウトローだったからこそ、革新的な運用手法を編み出したともいえるでしょう。
ジョーンズの運用は独創的なだけでなく、慎重さも兼ね備えていました。「割安な株は買い持ち、割安な株は空売り」で利益を出すのは簡単ではありません。コンピューターが普及していない時代にも関わらず、ジョーンズは2000社分のボラティリティ(株価変動の大きさ)を計算し、効率の良い銘柄を探り当てたのです。
周りに流されない逆張り精神、大胆な発想と緻密な行動‥ジョーンズのサクセスストーリーには、わたしたち現代の投資家が見習うべきものも少なくありません。
次回列伝は「ロケットサイエンティスト」ポール・サミュエルソンをお届けします。ご期待ください。
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