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ホリエモン・村上ファンドだけじゃない!兜町のお騒がせ列伝!

こんにちは、金融ブロガーの本郷マサシです。

コロナパンデミックの始まりから約半年。
世界で見れば人や物の行き来が徐々に再開しつつある国もあるそうですが、日本やアメリカ、お隣の韓国などでもまだまだくすぶっていますね。

最初は終わりはまだかまだかと悶々とする日々を送っていましたが、最近は(もちろん早い終決を願いつつも)今このコロナ下で見直せることはないか、改善できることはないかと舞向きに考え過ごしています。

はい、僕の話はさておき。

「物言う株主」
アクティビストなどとも呼ばれますが、新聞記事などで目にする機会が増えたように思いませんか。

「銀行OB役員、物言う株主がNO 会社の私物化懸念」
「物言う株主が着目 ソフトバンクGの15兆円ギャップ」
「米物言う株主バリューアクト、任天堂株2%取得」

ここ10年で物言う株主の活動は日本でもすっかり定着し、とくに最近は経営陣・経済メディアや他機関投資家からの認知も高まりつつあります。彼らの主張(企業価値向上や株主還元強化)も、賛同を得ることが増えてきました。

ところで、「物言う株主」的な存在は昔から活動していました。今回の記事では、ホリエモン・村上ファンド・さらに遡って総会屋などなど、現在のような洗練さには欠けた粗削りな「お騒がせ面々」の盛衰記をお伝えします。

◆物言う株主の源流「総会屋と荒れる株主総会」◆
20代や30代のみなさんだとリアルではご存じないでしょうが、総会屋とは昭和40年代から平成のはじめにかけて企業社会に巣食っていた集団です。

総会屋も、「株主として経営者に物申す」という意味ではアクティビストと同じですが、はるかに荒っぽい、もっと言えば反社会的なやりかたでした。

当時、大手企業の株主総会といえば、極力短い時間で終わらせるシャンシャン総会が理想とされていました。野党総会屋の質問を封じるため、前列は体育会出身の社員と会社が雇った与党総会屋で固めます。質問を求める側も封じる側もともに総会屋で、怒号が飛び交う総会も珍しくありませんでした。ときには総会屋同士の乱闘騒ぎも…

転機となったのは1997年の「総会屋利益供与事件」、第一勧銀や野村をはじめとする大手証券会社が大物総会屋小池隆一氏に100億円を超える資金を提供した大スキャンダルです。

事件をきっかけに商法(会社法)の規制が強化されると同時に、警察庁長官自らが声明を出すなど取り締まりにも本腰が入れられ、我が世の春を唄っていた総会屋は一挙に追い詰められます。阪和銀行・富士フィルム・住友銀行…企業幹部への襲撃も相次ぎましたが、これも最後のあがきでした。

当時1000人を超えた総会屋も、現在では20人前後で細々と活動しているようです。

当然彼らの反社会的な行為は非難されるべきですが、会社側にも経営者の不祥事、ずさんな事業失敗、不正まがいの融資などつけ込まれるスキがあったのも確かです。

■大手メディアをも震撼させた村上ファンド・ホリエモン

「金儲け悪いことですか?」

かつて「村上ファンド」を率いていた村上世彰氏、出資した企業に突きつける厳しい要求に加え、歯に衣着せぬ発言が物議をかもすことで有名でした。

村上氏は元通産官僚でしたが40歳の若さで退官、「コーポレート・ガバナンスを日本企業に定着」にさせようと、村上ファンドを立ち上げます(後の日銀総裁・福井俊彦氏も出資者に名を連ねました)。当時はまだ、「ガバナンス」なんて言葉を、ビジネスパーソンもほとんど知らない時代です。

村上ファンドは東京スタイル、阪神鉄道、さらにはTBSの株を買い占め、一流企業の経営者を震え上がらせました。当時は堀江貴文氏がニッポン放送の大量保有報告書に名を連ね、全盛のフジテレビジョングループに立ち向かっていたころです。

当時の上場企業は「会社は俺たちのもの」と考える経営者が圧倒的多数で、一般株主などは「うるさい存在」くらいにしか思っていませんでした。だからこそ経営者は村上氏や堀江氏を毛嫌いし遠ざけてきたのです。そして大企業をバックアップするメディアも、集中砲火を浴びせたというワケです。

◆お騒がせ面々しの功罪◆
総会屋、アクティビスト…いずれも企業にとっては厄介な存在で、経営者やブレーン陣は対策に追われ、中には買収防衛策のような内向きのものも目立ちました。
総会屋、アクティビスト…いずれも企業にとっては厄介な存在で、経営者やブレーン陣は対策に追われ、中には買収防衛策のような内向きのものも目立ちました。

しかし先見の明のある経営者たちは気づきます…「まっとうな経営」こそ最良の防衛策であることを。

ガバナンスを整備し、意思決定ルールを透明化する、企業価値を向上させ株主に利益を還元するといった、欧米での常識が最近になってようやく日本企業にも浸透しました。まさに、お騒がせ面々の功罪「功」の部分ではないでしょうか。

一方で、愛人ばかりか隠し子がいる経営者は当たり前、官僚を接待するのも常識、談合を不正だとは思わない、そんなことがまかり通ったガバナンスなき「昭和」に郷愁を感じ、令和の時代を窮屈に思うこともあります。
すこしだけ‥ですよ(笑)

人間って理屈で割り切れないものですね。

つづく。


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