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日本の公鋳貨幣

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日本が発行した「貨幣」の解説や、流通していた「貨幣」の歴史などをまとめた記事です。1から順に時系列順に解説しています。
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2023年9月の記事一覧

日本の公鋳貨幣47『銅(棹銅/長崎貿易銭)』

日本の公鋳貨幣47『銅(棹銅/長崎貿易銭)』

17世紀の世界経済を動かした日本の輸出品公鋳貨幣とタイトルに銘打っている以上、次は「元禄の改鋳」の話をする予定でした。が、ふと、江戸幕府が正式に発行し、貨幣として流通し、世界経済にめちゃくちゃな影響を与えたにもかかわらず、余り日本の貨幣史の本には載らないお金があることに思い至りました。載ったとしても日本側の視点からの紹介ばかりです。僕も、これまで作ってきた出版物でこの貨幣について触れる場合は、日本

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日本の公鋳造貨幣46「慶長大判」

日本の公鋳造貨幣46「慶長大判」


流通しないことを前提に作られた貨幣江戸時代初期の貨幣を順々に紹介していきましたが、あえて一枚だけメジャーどころを外しておりました。それがこちら、

みんな大好き「慶長大判」です。公式に徳川幕府の貨幣制度に組み込まれた公鋳の貨幣ではあるのですが、そもそも市中での売買で用いることを想定しておりませんでした。ある意味、私鋳銭などよりも、貨幣らしくない貨幣であったと言えるでしょう。

10両=100万円

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日本の公鋳貨幣45「寛永通宝」

日本の公鋳貨幣45「寛永通宝」


銭づくりを目指し重い腰を上げた幕府前回紹介した、「寛永通宝 二水永」を筆頭に、1630年台にかけて、各地に質の高い私鋳銭が登場しました。このことは、それまでぼろぼろになった鐚銭をなんとか使いまわそうとばかり考えていた幕府にまったく異なる考え方を呼び起こしました。

「オリジナルの銭を、新たに作ればいいんじゃね?」

幕府にこの決断をさせた背景には、国内の採掘技術向上により、銅の増産が起きていたこ

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