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【2024年1月10日版:クリプト格付けから何がわかる?②】MCBクリプト格付け #3

こんにちは!

前回に引き続き、「クリプト格付けを見るとどんなことがわかるの?」という疑問にお答えすべく、クリプト格付けの見方を解説していきたいと思います!

前回は2023年12月の初回格付けを見ながら、①スコアボードからわかること、②スコアチャートからわかることをご説明しました。今回は直近で出した2024年1月10日付のクリプト格付けを使って、「2024年注目の銘柄」を格付けの視点からご紹介したいと思います。その中で、どんな点を意識すれば格付けから効果的なインプットが得られるのかということを解説できればと思います。

それでは参りましょう。


格付け結果概観

兎にも角にも、まずは格付け結果を見てみましょう。

MCBクリプト格付け2024年1月10日版:マネックスクリプトバンク作成
本記事では全対象銘柄48種類中、25銘柄のみ記載

まずは全体感からです。1位はやはりビットコイン【BTC】で857点でした。依然ダントツの一位ですね。年初早々、米国でビットコイン現物ETFが11銘柄同時に承認されたことを受け、ETF取引開始直後には49000ドルを超えるなど高騰しました。暗号資産の代表格であるビットコインが先陣を切って大きく上昇したことは、2024年が暗号資産相場にとって非常に明るい年になるのではないかという期待をさらに大きなものにしてくれました。早速、次はイーサリアムの現物ETFが承認されるのではないか、と期待を煽るような動きも見られています。

なお、ビットコインETFに関しては弊社メルマガでも詳しく紹介していますので、こちらも是非ご覧ください。

ソラナ【SOL】が不動の二番手であったイーサリアムを抜いて698点で第2位に浮上。この点については注目銘柄の章で詳しく解説したいと思います。また、カルダノ【ADA】やアバランチ【AVAX】も着実に得点を増やし、それぞれ6位、7位へと躍進。一方、前回6位だったリップル【XRP】は順位を落として8位となりました。トップ10の中ではトロン【TRX】が唯一ランク外となり14位に。代わって、バイナンスコイン【BNB】が12位から10位へと順位を上げました。

前回トップ10に入った銘柄の多くは昨年末にかけて価格が下落。ビットコインETFの一連の盛り上がりで相場全体が上向きましたが、2023年12月格付け基準日での価格を上回った銘柄は少なく、 同格付け基準日比で価格がプラスになったのはビットコイン、イーサリアム、ソラナの3銘柄のみでした。

前回順位についてはこちらの記事で紹介しておりますので、ぜひ併せてご確認ください。

投機リスク

価格は下落した銘柄が多かったものの、格付けの総合評価としては多くの銘柄が漸増しています。総合得点が増加したのは上位10銘柄中5銘柄。マイナスになった銘柄も2つ(ライトコイン【LTC】とTRX)ありましたが、変動はわずかでした。この大きな要因としては投機リスクの評価が全体としてプラスになったことが挙げられます。投機リスクにはボラティリティやシャープレシオ、ROIなどの項目が考慮されていますが、これらの項目で得点が上がった全48銘柄中27銘柄と50%を超えていました。

これは相場全体の上昇による部分も大きいですが、項目別で見ると特にオプティミズム【OP】やインジェクティブ【INJ】はそれぞれ投機リスクの項目で、+170点, +180点と他の銘柄の上げ幅に比べても高い点数を積み増しました。この2銘柄に関しては流動性の観点でも得点を上げ、得点上昇率ではダントツのトップ2となりました。OPとINJは前回の格付け基準日からそれぞれ70%から100%と大きく価格が高騰しており、これだけの大きな上昇が、本格付けにおいても高く評価されたと言えるでしょう。

流動性リスク

流動性リスクで注目したいのはソラナ、アスター【ASTR】、アバランチの3銘柄です。ソラナとアバランチは昨年12月に入り、各エコシステムにおいてミームコインブームが到来。ソラナでは犬をテーマにしたドッグウィファット【WIF】とボンク【BONK】の2トークンが、アバランチでは鶏がテーマとなっているコック・イヌ【COQ】トークンがブームを牽引しました。先月比でネットワーク取引量が2倍以上になり、アクティブウォレットや新規ユーザーが増加したことが、流動性評価の向上に大きく貢献したと考えられます。

一方、アスターに関しては韓国最大手の暗号資産取引所であるUpbitに韓国ウォンとASTRのペアを上場したことが大きな理由でしょう。上場後、一時は価格が2倍になる場面もありました。昨年9月には同じく韓国のbithumbにも上場するなど、韓国での事業拡大を行っており、同国内でASTRへの関心が高まっていることが伺えます。

このような要因により、ソラナは前回4位から2位へ、アバランチは9位から7位へ、アスターは36位から27位へと総合順位を上げました。ソラナに関しては次の章でさらに詳しく解説します。

集中リスク

集中リスクの項目で最高得点を得たのはビットコイン、ソラナ、ライトコイン、アバランチの4銘柄でした。以上4銘柄に関しては前回から得点の変動はありません。この4銘柄だけではなく、48銘柄中41銘柄で集中リスクの得点の先月からの増減はありませんでした。

そもそも集中リスクはトークンが特定のウォレットに集中しているか否かを評価しているため、長期保有しているクジラが大きな額を動かすということがない限りは大きく変動しません。裏を返せば集中リスクの評価が大きく動いた時は要注意ということだと言えるでしょう。

そんな中で100点以上得点が減少した銘柄が二つあります。ファントム【FTM】とジリカ【ZIL】です。これらの銘柄はトークン保有者の集中が大きく進んでいると見られるため、大量保有しているウォレットの動向に十分注意していただきたいと思います。一方、得点が増加したのはメイカー【MKR】とアーベ【AAVE】のみでした。この2銘柄は保有者の分散度がさらに高まっているようです。

ちなみに、集中リスクで高評価だった上位10銘柄の得点の比率で各銘柄に投資を行っていた場合、3%程度のプラスとなっていると試算できました。全体的にこの1ヶ月で価格が下落した銘柄が多い中で、このような結果になったことはブロックチェーンの本質である分散の重要性を示唆していると言えるのではないでしょうか。

2024年の注目銘柄は?

今年前半に最も注目したいのはソラナです。格付けにおいては不動の2位のポジションを持っていたイーサリアムをソラナが抜きました。本格付は基本的に中長期的な視点で評価を行っているため、短期的なブームで大きく得点がブレることは少なく、これは特に元々上位に位置している銘柄で顕著です。それにもかからわず、点数を一気にあげイーサリアムを抜いたというのは、それほどにこの1ヶ月間でソラナのリターン期待値やユーティリティの高まりが大きくなったことを表しています。

Messariよりマネックスクリプトバンク作成

特にこの1ヶ月の高騰は急激なものではありましたが、チャートを見てみると昨年10月の半ばごろから価格を順調に伸ばしていました。先述したミームコインの影響はかなり大きく、特にBONKがこのソラナエコシステム全体の盛り上がりを牽引しました。

また、SOLトークンだけでなく、ソラナの主要開発元であるSolana Labsが手がけるweb3スマートフォン「Saga」の中古価格も高騰。昨年12月にはソラナモバイル公式XアカウントがSagaが完売したと発表し、業界内で話題になりました。Sagaが売れた背景にはやはりBONKの存在があり、Sagaユーザー限定のBONKエアドロップ目当ての購入者が続出したようです。

最近では2台目の暗号資産スマートフォンの販売を計画しているとの報道もあるなど、web3スマートフォンにも力を入れていることが伺えます。これはマスアダプションを進めるというよりかは既存ユーザーのユーティリティを高めるための施策ではあります。しかし、より身近なものとしてクリプトを感じられるようになるという意味では、新規ユーザーを取り込む誘因に一定程度なる可能性があります。一方、先述のSagaのように投機目的で購入者が多発すると、需給バランスが崩れてしまうという点にも留意しておきたいです。

2022年のFTXショックでかなり減速したソラナでしたが、2023年は新製品の発売ペースの加速、オンチェーン流動性の上昇、開発者向けツールの利用可能性の広がりがミームコインのブームと重なり、年末に一気に爆発したように思われます。本格付でも2位となったソラナが、特に年前半でどのような動きをするのか注視しておきたいところです。

まとめ

今回の格付けは暗号資産の春の幕開けとともに始まった2024年を占うようなものでした。総合評価もさることながら、各項目ごとの評価の変動に注目すると今年注目の銘柄が見えてました。特に先述したソラナ、オプティミズム、インジェクティブ、アスターなどには今年前半、エコシステムでの動き、そして格付け評価がどのように遷移するかの二点から目が離せません。

一方で、この格付けは中長期的な視点での評価を前提としているため、格付け開始1ヶ月ではまだまだその真価が発揮されたとは言えません。マネックスクリプトバンクとしても、2024年は、格付け結果の評価とメソッドの改善を進め、各プロジェクトのマーケットパフォーマンス評価が妥当であると投資家の方に納得いただけるような指標になるようブラッシュアップしていく年にしたいと思います。

ブル相場の2024年は、昨年とはまた違う意味で大荒れの1年になることでしょう。相場やニュースと合わせて格付けの方もチェックいただければ幸いです。それではまた次の記事で。

※全48銘柄の格付け結果が気になる方はこちら

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