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シスターという纏足

 初期の山田詠美が結構好きで、その頃の作品はほぼ全て読んでるのだが、『蝶々の纏足』のほかは、クラブで出会って寝ちゃってから恋が始まるとか、いわばワンナイトラヴ的な話が多い。でも、描写がこなれてて、痛みと美意識が伝わる文章なのだ。恋愛小説として。 そして、初期の山田詠美のように、基地の外国人兵士と付き合う人たち、当時横須賀ガール(この形容は私が知っているより少し前の表現で、普通に横須賀のお嬢さん的な意味を示す時代もあったらしい)とか、悪意のある言い方だがぶら下がり族(身体の大

    • chinaの五にんきょうだい

      昨日の句会のあと、宗香さんが数年前に亡くなられたことを聞く。詩人の宗左近氏の奥様、いや、奥様という言い方は嫌いな方だった。宗のことを、主人、なんて言うのいやじゃない、なんて言ったらいいかしらね、ハズバンド、なんか落ち着かないわね、と。 見当はずれな、下衆な勘ぐりをされることも多いのだが、私はなぜか香さんに呼ばれていくことも多かった。買い物の手伝いや、食卓の準備など、もともと人を手伝うのが好きな自分は、及ばないけれど言われたように動く。軽井沢に借りた別荘にいらっし

      • 富の功罪 〈明治からの贈り物〉展

        静嘉堂文庫美術館で、〈ー明治150年記念ー 明治からの贈り物〉展 http://www.seikado.or.jp/exhibition/2018003.html 先日の神奈川歴博の展示が非常に密度が濃かったので、こちらへも。最終日ぎりぎり。明治150年云々のタイトルに食指が動かなかったのだが、やはり一応。 結論から言えば、神奈川歴博の前にこちらを見ておくべきだった。セットで見るに越したことはないが、歴博のほうがより庶民の視点を含んでいるのに対して(歴博は、《小学習画帖

        • 写生とは?掘り起こされた明治    <新明解 明治美術展>

          神奈川県立歴史博物館 <新明解 明治美術 増殖する新(ニュー)メディア      ―神奈川県立博物館50年の精華ー       http://ch.kanagawa-museum.jp/m150/  へ。明治150年ワードが政治的にも利用されている昨今だが、なかなかどうして、このような展示が副産物的に見られるのはかなりの収穫。歴史の表舞台に埋もれていた文化や美術の流れの実際を同時代の感覚でうかがい知ることができる貴重な展示だと思う。この神奈川県立歴史博物館の古い建物も

        シスターという纏足

        • chinaの五にんきょうだい

        • 富の功罪 〈明治からの贈り物〉展

        • 写生とは?掘り起こされた明治    <新明解 明治美術展>