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スイカとサルデーニャのビールと

スーパーで、大きなスイカをまるごと買おうとしている人が、運ぶための段ボール箱を店員さんからもらっていた。そのスイカは楕円形で、見たところ長さは35センチ前後のようだった。
わたしはたいていカットされたスイカの中でも、一番小さそうなものを選ぶのだが、この日は通常よりも遅く行ったため、カットスイカも半分ぐらいに切られた大きいものしか残っておらず見送った。一番小さいものを選んでも、食べ終わらないうちに傷み始めてくるので、大きいものは無理なのだ。まあ、カットして冷凍したり、ジュースにでもすればよいのだろうか?

店内を回って、一通り必要なものをカートに入れ終えレジに向かう。

先ほどの大きなスイカを箱によって入れていた人が、ちょうど前にいた。
レジのベルトコンベアーに、サルデーニャのビールichnusaの500ml入り缶を20本近く並べていた。

大きなスイカに、たくさんのビール、さてはパーティーでもするのだろう。
日本だと、そんなにまるごと大きいスイカでパーティーと言ったら、スイカ割りが思い起こされるが、イタリアではスイカ割りの遊びはないと思う。
その人たちは、ミラノから来ただろうことが話すアクセントから想像される。

わたしは必要がなければビールはほとんど飲まないのだが、Ichnusaは一度だけ、イタリア人の友人がサルデーニャ出身の人たちが経営する海の家で誕生日パーティーをした際に振る舞われたのを味見したことがある。他のビールと比べて何かが異なる気もしたが、何が異なったのかは言い表せない。とにかく、ラガービールのようだ。
彼はヴェローナ出身なので、その誕生日パーティーのために、そちらから長年の付き合いの友人たちが集まっていた。
Ichnusaと海の家での誕生日パーティーで、連想ゲームのようにその人の誕生日について思い出した。
そう言えば、もう過ぎてしまていた。
顔を合わせる時にでも、遅れたけれど……とお祝いを伝えようと思う。
そう言えば、その時に東京の街の写真がプリントされ、日本語の文字が入ったベネトンの白いTシャツを贈ったのを思い出した。
すごく日本びいきというわけではないものの、従姉妹が日本に住んでいたことがあったと言っていた気がする。彼自身が日本で一番関心があるのは刺青だと言う。実際に、いくつかタトゥーを入れているのだが、日本の刺青技術を絶賛していた……

彼の誕生日パーティーにお呼ばれしたのは、わたしの誕生日パーティーに家族で招待したことへのお返しだったのだと思う。双子の娘がいるのだが、その子たちがまだ小学校に上がる前のことだった。
ひとりは、語学高校に進んだが、専門ではないものの何年生かの時に日本語も週何時間か勉強していたと聞く。
あのお人形のように可愛らしかった双子の姉妹が、どのように成長したのか、なおさら見てみたくなる。
日本語を勉強して、日本により興味を持ったかなぁ、と。

わたしは、翌日、別のスーパーでスイカをしていたり買うことにした。
カットされているものは、わたしには大き過ぎたので、今夏はじめてのベビースイカ(小玉スイカ)。ベビースイカ一玉は、二千グラム以上で、3ユーロ強だった。普段購入するカットスイカは1ユーロ台後半のものを選んでいるので、少し割高。

簡単なランチやおやつにと口にしているが、今回のベビースイカはあまり甘くないのがまた残念なところ。

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