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焦げそうな日に

一日で一番暑くなる午後の時間帯に、ほんの束の間、屋外に出た。

日陰で風が通るところならば、まだ涼しいのだが、日光があたるところに一歩踏み入れると、日が強くて、眩しくて、彼女の言葉で言うところの「焦げる」とはこのことか、と実感する。
西の方の方言で、日焼けすることを「焦げる」と言うそうだ。

二十代に知り合ったその年上の友人は、こちらにも足を運んでくれた。
秋で雨が多い時季だったけれど、時間が許す範囲で、他の友人たちも含めて近場を散策したり、観光したりした。

足元が悪いところで滑って、真っ白なパンツが汚れてしまったり、老舗のカフェでカルボナーラをオーダーしたら、日本であるタイプのでないことに軽く困惑したり。
イタリア人の友人たちと大勢でピッツァを食べに行った時には、クアットロ・フォルマッジョをオーダーしていたけれど、イタリアでは一人一枚食すという流儀では、チーズの重さで半分ほどしか食べられなかったり。

本当はもっと時間があれば、旅行好きな彼女だから、他の町にも色々連れて行きたかったなぁ……と、今になって思う。
ミラノやトリノやフィレンツェやヴェネツィア……
わたしたちは、時間の関係で、この州のポルトフィーノやチンクエ・テッレすら一緒に行けなかった。

日本で一緒に花火大会に行ったことを思い出す。
川岸で打ち上げられるのを一緒に眺めていた。
帰り際に、スーパーで猫の餌を買っていたね。

元気でいると良いのだけれど。

誕生日だったからよけいに思い出される思い出。

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