しろのいぬ

犬を飼ったことがある。

真っ白な雑種で、地域の動物愛護センターからもらい受けた。こんな書き方だと、動物愛護に関心があるようだけれど、残念ながら違う。僕ら子どもたちによる長年の要望と、何度も検討した結果、コストがかからないという理由で、譲渡会に顔を出したというだけだ。

その子は、乗りものに酔いやすく、あまり吠えもせず、病院も怖がるし、シャンプーも苦手、弱いというか、しっかり生きられるのか心配な犬だった。

ただ、犬を飼うのが初めてだった僕たち家族は、手のかけ方を知らなかった。残念なことに、6年あまりで天国に行ってしまった。おそらく病気にかかっていたのだと思うけれど、今となっては、何があの子の救いになったのかは分からない。

麗らかだった真っ白のあの子。おいしそうに水を飲んだり、楽しく遊んでいる姿が目に浮かぶ。静かに最期を迎えた朝も、穏やかな顔つきは僕たちの救いになった。

いつかまた会えるだろうか。

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