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どこに行くか、誰と行くか

アメリカのニューヨーク、何を思い浮かべるでしょうか。

きっと年齢によっても違うし、趣味というか興味関心の有無によっても全く異なる風景を思い出すのが、この街ではないかと思います。

もう10年以上前になるけれど、公務員になるための試験が終わり、友人と旅行に行くことにしました。大学は違ったのですが、サークルで知り合い仲良くなった友人でした。

どことなく雰囲気が似ていると言われ、ツアーで参加した中国・四川の旅では兄弟と間違われたり。苗字が違うのは、きっとワケアリなのだと勘違いされていて、そのくらい似ていたということなのでしょうか。

その友人が、ニューヨークの旅をリベンジしたいので、ぜひ一緒に、と言ったのでした。なんでも、その前の年に、職場の同僚と行ったけれど思うように行動ができなかったと言うのです。

僕が言わなくても、多くの先達が言っているけれど、旅は「どこに行くか、よりも、誰と行くか」なのですよね。

僕は、ひとり旅だとかなりカツカツのスケジュールで行動してしまうため、その感覚で友人と行くと、たいてい相手が体調を崩してしまいます。

普段の”のんびりとマイペース”に見える(結構頑張っているつもりではある)僕が、旅先ではお昼ご飯も食べずに動き回るのは、意外に見えることもあるようです。

僕にとっては、初ニューヨーク。否が応でも期待が高まり、出発前日は仕事中もニヤニヤが止まりませんでした。脳内では、フランク・シナトラの「ニューヨーク・ニューヨーク」(ちょっと古いな)が流れていました。

とは言え、友人のリベンジということもあって、僕が行きたいと伝えたのは「自由の女神(近年では、自由の像というらしい)」とミュージカル、本場のゴスペルくらいでした。

友人は、それらを全部叶えてくれました。ミュージカルは、当日に余った券を格安で売っているカウンターに並び、ウエスト・サイド・ストーリー、ビリー・エリオット、ストンプを観ることができたのです。

それぞれの作品の紹介は割愛しますが、英語がよく分かっていなくても、舞台上の俳優の動きや歌には感動し、思わず涙を流してしまった瞬間もありました。

面白かったのは、日本では体格差などが明らかな配役がされているけれど、現地では若い男性はほとんどマッチョ体型で、キャラクターが分かりにくかったこと。

また、キャストとして赤ちゃんがハイハイして出てきたり、子どもも夜中の公演に大勢が登場していたのも、驚きました。

ニューヨークは、地下鉄が多く走っていることもあり、移動の足はほとんど地下鉄を使っていました。確か1週間パスのようなものを買って乗っていました。

治安については、あまり気にしていませんでしたが、やはり夜中はトイレも封鎖されていたように記憶しています。

地下鉄の駅には、ストリートパフォーマーがいて、乗り降りのたびに楽しみにしていました。中には電車内で演奏するような人もいました。

当時は、市が認証したパフォーマーには黄色いフラッグがついていて、それを着けている人は、確かにレベルの高い演奏やダンスをしていました。

友人と僕は、サークルでトランペットを吹いていたこともあって、ニューヨークのそばに住んでいた伝説的トランペッターでありシンガーの”サッチモ”(ルイ・アームストロング)ゆかりの場所へ足を運びました。

そこは、サッチモが暮らしていた家でした。それを博物館に改装していたようで、外観はなかなかゴチャついていますが、部屋の中は生活感がありました。2階への階段には、晩年足を悪くして歩けなくなった彼のためのリフトが付けられており、とても切なくなってしまうのでした。

ニューヨークで訪れたかった”ゴスペル”は、ガイドブックを頼りにハーレム地区のアポロシアター付近の教会に入りましたが、思ったようなものではありませんでした。

まぁ、ショーじゃない現地の暮らしの中の礼拝の一部だから、映画のように盛り上がらなくて当然か・・と半ば無理やり納得させて、帰国したのでした。

とは言え、リベンジに意気込んでいた友人は、満足してくれました。朝のセントラルパークの散策や、思いついた時に食べる食事など、行動パターンが一緒だったのです。

さらに友人は、道中で「僕を怒らせる」という目標を密かに持っていました・・。いつも穏やかな僕を、あのニューヨークで怒らせたかったと思っていたそうです。くだらない・・。

そんな彼の目標は、帰国する機内で果たされました。

と言っても、僕は一度も怒っていません。

友人が機内で眠っていた時に見た”夢の中”で、僕がキレていたのだそうです。実際に立ち寄ったチョコレートショップで、僕が密かにチョコを買っていたことで喧嘩になったのだとか・・。

リベンジが果たせた上に、くだらない目標も(夢で)達成したと、喜んでくれました。

やはり「旅は誰と行くか」だなと思った帰り道でした。


あの街の摩天楼を思い起こさせるサムネイル、infocusさん、ありがとうございます。寒い時期じゃない時にも行ってみたい街です。



#旅 #ニューヨーク #ふたり旅





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