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黄昏の前に #書もつ

団地に暮らしたことはあるでしょうか。

僕は高校生くらいまで、団地で暮らしていました。覚えているだけで、同じ団地内で引っ越すこと3回。建て替えなどで新しくなった部屋に引っ越したのは、子ども心に感激しました。

僕が住んでいる稲城市は、ニュータウンと呼ばれている街並み」がある地域です。個人的には、隣の市の多摩市がまさにニュータウン構想の本丸のようなイメージがあります。

高層のマンションのようなアパートが林立し、いま、それらは一様に時代の移り変わりを感じさせる雰囲気になっています。

そんなニュータウンで暮らす、ある親子とその周りのことごと。

毎週木曜日は読んだ本のことを。

ニュータウンは黄昏れて
垣谷美雨

バブルに踊らされ、抽選に当たらない新築よりも手堅い中古を買った家族。今の金利が、遠い外国の話であるかのように、当時の金利は高く、購入額に利息がついて、支払いは長く続いていました。

登場人物に関わらず、誰しも、お金の話はどうも恐る恐るになるもので。相手の経済観念もわからないし、何より懐具合がいい人なんて、ほんの一握りだと思うのです。

主人公が思い悩むのは、とてもリアルな心配事で、読み手が楽しむと言うよりも、同じく不安に感じてしまうこともあるかも知れません。

しかし、これは小説。

主人公の友人の恋人が、いつのまにか主人公の恋人になり、お金と友情と愛と・・お金の話しだと思っていたけれど、恋愛小説なのかな・・などと忙しく読みました。前半が観覧車のようにゆったりとした感じでしたが、後半はジェットコースターのような展開に・・。

お金が心を重くしたり軽くしたり、仕方のないことだけれど、それをひた隠しにして暮らしているのが現代なのだとしたら、これからどうなるのだろうかと考えさせられました。

ふだん、あまりお金のことを考えないようにしているのですが、こういう作品を読むにつけ、きちんと勉強したくなるし、リテラシーのようなものが身に付いていないなぁと思うのです。

お金の知識というと、ついつい儲け話のように感じてしまうのですが、親世代のようにコツコツ貯めているだけでは足りないような気もするのは事実。

僕たち家族の生活も、今はなんとかなっているけれど、この先どうなるのか、ちょっと不安になる時があります。かと言って、ゴリゴリに節約する、みたいなのも出来ないし、やっぱりそれでは足りない、というのがあります。

物語に登場する彼女たちは、お金だけでなく知識によっても立ち回りが変わっていました。みんな同じではないからこそ、その先や目の前のことを判断できる知識が欲しい、そんなふうに思う読み終わりでした。

文庫版のあとがきは、著者の驚くべき告白が載せられていました。どんな風に暮らせるのか、どんなふうに暮らしていくのか、将来を楽観視しない。

お金の話は、難しい。でも、ちゃんと考えないとなぁ。


黄昏の団地、なんとなく寂しさを感じます。綺麗なサムネイル、infocusさんありがとうございました!



お金の物語、こちらもあります。


#推薦図書 #ニュータウン #住む #暮らす #お金


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