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まんまる、はずんで、やわらかく #書もつ

読み終えてから気がついたのは、声に出して読んでみたら意味がわかることもあるかも知れない・・ということでした。あまり根拠はありませんが、文字だけでは感じられない温度のようなものがありました。

どれも平易な言葉で書かれていると分かるのに、読んでみると言葉の意味が掴めない感じがするのは、自分の経験があまりにも浅いからかも知れない・・。

だれにもわかることばで、たいていのことはできる。

p186

この作品を読むと、本当の意味での言葉の意味を使い切れていないような、そんな不安を感じることになったのです。文字数は少ないのですが、少ないから早く読めるかというと、そんなことはない。でも、読んでみたら何かを見つけることができるかも知れません。

ボールのようなことば。
糸井重里

ページを繰るたびに聞こえてくるのは、スタジオジブリの映画「となりのトトロ」に出てきたお父さんの声・・当時、押しも押されもせぬ人気の只中にいたのが、筆者でした。

この作品に収められている筆者の言葉たちが、もともと文章の中の1編なのか、それとも講演の原稿なのか、はたまた雑談の摘録なのか、それは分からないのですが、とにかく筆者との距離が近い言葉なんじゃないかと思います。

僕自身は読み続けてはいませんが、「ほぼ日」ということばを聞けば、なるほどすごい人だと実感するのです。ちなみに、僕の手帳は“ほぼ日手帳”を使っています。カバーは、土屋鞄製造所のものです(誰も聞いてない)。

コピーライターとして活躍されている方の言葉なのだから、洗練されているというか、一般人では想像もできないくらいに深い部分を表現されようとしているものだと思って読み始めましたが、そうではありませんでした。

いいたいことが「10」あるなら、
それをとにかく「1」にしぼって伝える。

p40

言葉は、筆者が瞬間的に感じている気持ちをそのまま書いているものでした。(と読みました)考えてこねくり回した言葉ではなく、すらりと流れてきた言葉たち。読み手としては、読めるけれども、なんとも飲み込みにくいような言葉たち、という印象でした。

「多忙は怠惰の隠れ蓑である」と、何回でもじぶんに言おう。

p114

読みながら、筆者の言葉に納得がいかない部分には、きっと、それを今まで自分で否定して生きてきたんだなぁと、なんだか寂しい気持ちになるような時もありました。

いくつもの言葉があって、どれかは自分に宛てられている気がするし、ほとんどは分からないしで、何度でも読み返したい作品です。

たびたび、会話がキャッチボールに例えられることがありますが、この作品を読むと、そのキャッチしたりリリースしたりするボールそのもののことを、もっと考えないとなぁと思うようになりました。

僕は、実際のキャッチボールはとても苦手で、ほとんどやったことがありません。でも、こうして毎日のように投げ続けていると、ふとしたときに返ってくるボールをちゃんと受け止めなくては・・と、気持ちを新たにするきっかけになりました。

プラモデルのようにではなく、粘土細工のように。

p187


かわいいパンダのサムネイル、infocusさんありがとうございます。取れているようで転がってしまうボール、会話って難しいと感じることも(笑)


#推薦図書 #ボール #糸井重里






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