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「真面目な人が損をする世の中」と言うことで何かを諦めたくない

いつもnoteに言葉を綴る時、最後はなるべくポジティブな言葉を残している。
noteは誰かに言葉を届けるためと、そして自分のために書いている。
だから自然と明るい言葉が出てくる。
でも今日は少し、その明るい言葉が出ないかもしれない。

昨日久しぶりに会社の先輩と会った。
私が東京支社にいる時からお世話になっていたおじちゃん先輩だ。
先輩も最近関西本社に異動してきて、今大変らしい。
久しぶりにお茶でも飲みながら世間話しようと声をかけてくれた。
1ヶ月くらい前までは、まだ会社の人と会うことには抵抗があった。
でも東京時代の人なら、むしろ会いたいかもしれないと思って会うことにした。

先輩の顔を見た途端、懐かしいような、安心するようなそんな気持ちになって
なんだか泣きそうになってしまった。
私が転勤するときもとても心配してくれて、温かく送り出してくれた東京支社の先輩方に合わせる顔がないなと思った時期もあった。
でも休んでいる間、その先輩は定期的に私に連絡をくれた。
元々お子さんの受験の話や普段の様子について聞いていて、先輩にとっても私はそんな何気ない話ができる存在だったと言ってくれた。
その先輩に会って、衝撃の話を聞いてしまった。

私は転勤して間も無く会社に行けなくなった。
その後立て続けに、私がお世話になっていた数人の先輩方も会社に来れなくなっているようだった。
私は普段から、人の異変や小さな変化に気づくほうだ。
東京時代、私が少し心配していた人たちが揃ってみんな休職している。
悲しくなった。なんだかやるせなくて、苦しくて、悔しかった。
自分のことのように悔しくて、泣き出しそうだった。

休んでいる先輩たちには共通点がある。
真面目で人当たりがよく、どこか完璧主義な部分も持ち合わせていて、優しい。
そんな人たちが揃ってダウンしてしまった。
よく「真面目な人や頑張っている人が損をする世の中だよね」というフレーズを耳にする。
私はそんな世の中が大っ嫌いだ。
そしてそれを言って、何かを諦めたり、間違いを正したり、マイノリティが声を上げられないそんな世の中が大っ嫌いだ。

ズル賢く生きなきゃとか、出る杭は打たれるとか、そんなの糞食らえだ。
素直で、意見をちゃんと持って主張して、人に優しくて、何事にも一生懸命取り組んでいる人が、どうしてこんなに大きな傷を負って苦しまなきゃいけないんだ。
なんでなんだ。

休職してしまった先輩の一人は、私の指導担当をしてくださった人だった。
私が側で学ばさせてもらっている時から、仕事ができると周りから言われている人だった。
時にはお通夜みたいな空気の意味もないような会議で、意見を主張する人だった。
そしていつも私に丁寧に教えてくださった。
時に、重圧に苦しんでいて機嫌があまり良くなくて、接し方に悩んだこともあったけど、私にはわからないくらいのプレッシャーとストレスを抱えていることだけはわかっていたから、どうにかサポートできないと私は周りでセカセカ動いていた。
そういう真面目で、仕事を丁寧にやる人にはめんどくさいことが舞い込んでくる。
そりゃ期待を込めて任されるならいいが、それが単純に他にやる人がいないからこの人に任せておけばいいだろうみたいな風潮もある。
私は先輩を隣で見ていて、たまに怖くなった。
いつか、本当に近い将来、この人はポキっと心が折れてしまうんじゃないだろうかと。
だから、たまに様子を見ては、最近眠れていますかとか、体調悪かったら言ってくださいねと声をかけていた。
でもそんなときはいつも、笑いながら、まぁ大丈夫よ!と言っていた。
カッコつけないでくださいよ と思いながらも、奥さんや誰かには弱音を吐けているかなと思っていた。

どんな思いで今お休みされているかはわからない。
でも、職場のあの雰囲気を知っている私にはなんとなくわかる。

なんで、なんでこうなんだろう。
真面目な人が損をするなんて、なんで。
理不尽なことに声を上げたり、意見を言うと
まぁ昔からそうやって来たから、そういうもんなんだよって言われて
真面目な人たちが異端者みたいな扱いを受けるのはなんでなの。
よく働くね、とか、よく意見言うね〜とか、ちょっと馬鹿にしたように言うのはなんで?
働かない人がいるから、その分をフォローしているんだよ。
何が悪いかわかっているのに意見を言わず見て見ぬふりをする人が多いから意見を言っているんだよ。
馬鹿にするようなことじゃない。

私はそうやって、見て見ぬふりをしたり、言ったらもしかしたら変わるかもしれないことをずっと言わずに知らんふりするような、誰かの後ろに隠れ続ける人にはなりたくない。
そう思っていたら、いつも私は誰かの前に立って、大きな何かと戦っていたりした。
だから大きな傷を負うこともあった。
でもそれで実際変わったんだ。
誰かが救われたことがあったんだ。
だから、今度はもう少し自分を守りながら、ちゃんと自分の前に盾を立てながら戦おうと思ったんだ。

そんな自分の経験と先輩たちを重ね合わせたら、もう悔しくて
どうしようもなく涙が溢れてきた。
悔しい。本当に悔しい。

もっとお互い対等な立場で、お互いのものを交換しあって、話し合って
そしたらどちらかだけが負傷するなんてことないのに。
なんでそれができないんだろう。
どうしてこうも自分勝手なんだろう。
自分勝手になれない人が傷を負って、自分を責めて、でももっと自分勝手になっていいよねって休むことにしてもなんだか心から休めなくて。

みんな何か抱えてる、誰かの犠牲の上で成り立ってる
そんなこと、心を今負傷中の人に言わないでよ。
そんなこと、私たちが一番わかってるよ。
だから人一倍、申し訳なく思ってるんじゃん。
それを自分も経験して、大変さがわかるから。

ごめんなさい、荒削りの言葉を並べてしまって。
久しぶりにこんなに悔しくなってしまって。
何より先輩たちが心配で。
やるせなくて。

どうか先輩たちが心から休めますように。
そして先輩たちのこの経験が活きるような、そんな道を見つけられますように。
いつか、いつかお互い、元気になって会えますように。
今のこの苦しさが、いつか笑い話になるくらい、幸せな日々を過ごせますように。

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