カレーの匂い 短編

 帰るのが少し遅くなってしまった。あのくそな上司が定時前に仕事を振ったせいで結局帰るのが2時間くらい遅れた。まだ、ましな方だがそれどもイライラする。家に帰って明日のために早く寝ないと。こんな生活を繰り返して私はなんになりたいのかな。習い事終わりの小学生の集団が前から元気にやってくる。私も昔、小学生だったのかと、前世のような遠い記憶のように感じるが十数年前の話だ。夜の住宅街を抜けると私のアパートがはひっそりと人にバレないように建っている。私はこの立地があまり好きではない、住宅街からは夜ごはんの匂いが漂ってきては私の孤独を助長させる。あと少しで住宅街を抜けるというとこでカレーの匂いが漂ってきた。どこからきたのかと周囲を見渡している間にカレーの匂いが風に流されてどこかへ消えていった。そして、もう二度と見つけられなかった。創作大賞2024

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