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デザイナーがやってるセンスの磨き方

センスが良い人になりたい!というお声をよくいただくのですが、センスは生まれ持ったものではなく、後付けできる。と私は思っています。

生まれてから大学卒業までをど田舎の山奥で過ごし、新卒で突如銀座の一等地でデザイナーとして働くことになった私は人一倍センスを磨く努力をしないといけなかった。
あれから約10年。なんとか今でも東京でデザイナーとしてお仕事させていただいています。

優秀なデザイナーたちの習慣

まだまだ未熟さを感じる日々ですが、美大を卒業し、デザイナーとして働く中でありがたいことに、「この人センス良いなーーー!!!」と思う人々に囲まれる環境でした。

いいなぁ。かっこいいなぁ。あんな風になりたいなぁ。

と思い、観察し続けて、私なりにセンスが良いなと思う人がやっている行動の共通点を沢山見つけたので、今回はシェアしていきたいと思います。

このnoteを読むことで、世の中の優秀なデザイナーたちがどんなことを習慣にしているのかを知ることができると思います。そしてそれを日常に取り入れるだけで、今より少しでも「センスが良い人」に近づけるのではないかと思います。

そもそもセンスの正体とは

一言で表すならば、目的に合わせて最も最適なアウトプットができる人だと思ってます。

例えばですが女子会用の服装やヘアメイクと、異性とのデート用で装いを変えられる人。尚且つそれがお会いした人に好印象を与えられたのなら、もうセンスが良い人です。

どんなシーンでもこれがセンスの正体になります。

目的を見失わない

なのでまず第一に、何目的なのかを正確に捉える力が必要です。
目的は、「誰が(Who)・どこで(Where)・何のために(Why)」をもとに考えます。
例えばデートなら

Who:私が
Where:銀座でのレストランで
Why:彼氏に可愛いと思われたい

です。

そのためには彼の趣味を把握する必要があり、自分の魅せ方を知っている必要があり、銀座のレストランでの服装をわきまえている必要があり、その洋服がどこに売っているのかを知っている必要があります。

つまり、知識と経験の集合体

センス良くなるためにはこれらの様々な情報を深く、広く知っている必要があり、その上で目的を見失わなければ、適切なチョイスは可能となります。

今回はわかりやすいようにデートで例えましたが、これが建築物になっても同じです。
国立競技場であれば、世界中の人が(Who)、東京の真ん中の自然豊かな場所に(Where)、オリンピックを開催するために集まる(Why)
この目的のために、隈研吾さんをはじめとした建築について知り尽くしているプロの手で作られたわけですよね。

デザイナーの仕事はつまりこういうことで、日々勉強を欠かせません。

ただ、勉強といっても英単語帳のようにセンスの教科書ってないです。
だからこそ、その勉強方法がわからない方がほとんどかと思います。

なので、ここからは実際にセンスが良い人はどのように学んでいるのか?について具体的に紹介していきます。

毎月本屋さんのあらゆるジャンルの雑誌に目をとおす


じっくりじゃなくて全然OKです。トレンドをなんとなく体に入れるイメージ。
インテリア・ファッション・車・バイク・音楽・料理…etc
様々なジャンルの雑誌があるので、自分の興味があるものだけでなく、興味がないものも流し見しておく。これが大切です。

なぜ流し見でOKなのか。それは…

まずは「浅く、広く」知ることから

先ほど、”様々な情報を深く、広く知っている必要がある”とお伝えしましたが、最初からそんなの無理なので、まずは"浅く、広く"で良いと思います。

ひとつの物事についての知識をいきなり0→10にしようとするのではなく、0→1の物事の数をたくさん増やしてみることを心がけてみてください。そのためにも興味がないジャンルの本にもさらっとで良いので触れておくことが大切です。

ちなみに、本屋さんに行った時は海外の雑誌や最新のアートブックなどに目を通すのもおすすめ。【海外で流行る→日本で流行る】の流れが何事も定番なので、先取りしておくと感度高くいられます。

昔から愛される名作に触れる


長く愛される作品には全て必ず理由があります。

みんなが好きな理由を知っておくのは王道を知ることであり、王道を知っているからこそ応用しアレンジやオリジナリティーを出すことができます。

確かに、このフルCGの時代に、初期のスターウォーズを見るのはしんどいかもしれないけど、なぜスターウォーズがこんなに愛されているのか?
解説や時代背景を踏まえてじっくり観てみると人間の深層心理的な意味で新たな発見があります。

みんなが好きなものとその理由を知っていることは、適切なアウトプットをするためにも必須事項です。なぜなら、基本的に「センスの良さ」は自己評価ではなく他人から評価されるものだからです。

街・都会を歩く


「とにかく街に出なさい、たくさん都会を歩きなさい」と美大生の頃何度も教授に言われました。

街には優秀な人たちが一生懸命考えて作られたものがたくさん溢れており、都会には最新のお店が出店し、街の開発はあらゆるところで常に行われています。
それらに触れることはセンスを磨く上でとても大切なことです。

なぜわざわざ街に出るのか?ネットで十分じゃない?と思われるかもしれませんが…

SNS社会の落とし穴

「SNSなどでも、最新の情報知れるから、ネットで十分でしょ!」とインドア派の皆様が言いたくなる気持ちも非常にわかりますが、SNSは現在その人が興味のある情報ばかり流れてくるように自動で設定されています。(アルゴリズムというやつです)
そのため「広く、深く」の部分が「狭く、深く」になりがちなのがSNSです。
まずは広く情報をとっていきたいので、これでは目的と少しズレてしまいます。

リアルの社会では様々な人が行き交うからこそ、普段自分が触れることのない新しい発見を多くできる。これが街歩きの良いところです。

あとはやっぱり「実際に体験する」ということも大切
陶芸のやり方を本や動画で見るのと、実際土を手で触ってみるのとでは、当たり前ですが自分の中に取り込まれる情報の量が圧倒的に変わりますよね。情報を「深く」知るという意味でも、引きこもらず街に出ましょう!

なので、「ディグる(深掘りする)」という目的でSNSやネットを活用するのは非常に良いです!"浅く"のフェーズから、"深く"のフェーズに入る時にはどんどんディグって、深く知っていきましょう!

美術館に行く


美術や芸術のことはよくわからないので行かない。という方は多いかと思います。
「なんかよくわかんないなーと思ってもいいからとりあえず観ておけ!自分の中のどっかに残ってるから」と教授に言われるがまま美術館に私は足を運び続けていますが、確かに不思議なくらい、後々「あの時に見たあれ、これだったんだ!!」と、点と点が繋がる時がきます。

センスが良い人は日頃から呼吸をするように常に点と点を繋げる作業をし、繋がった分だけ世の中のことを深く知ることができます。

余談ですが、私の点と点が繋がったエピソード
2015年に森美術館でやっていた「シンプルなかたち展」に行ったのですが、その時体の2〜3倍ほどある大きさの特大なただの真っ黒で四角い板が展示されていました。

後に「2001年宇宙の旅」というSF映画を見たときに、あの黒い板がこの映画の中で「モノリス」と呼ばれるキーアイテムだったということがわかったのですが、これがまぁ不気味な存在なんです。
一度実際にその物体と遭遇したからこそ、この映画を観た時の私の情報量は多かったはず。映画の中の登場人物の気持ちや、この形が持つ違和感、なぜこんなにも不気味に感じるのか。感じることや考えることが多くなります。
(ここではこの映画や展示について深く話しませんが、気になる方は調べてみてください。)

映画『2001年宇宙の旅』に出てくる"モノリス"

そんな感じで、どこかに触れた情報や感情は残っているものです。ぜひ騙されたと思って、月に1回〜3ヶ月に1回でも行く習慣をつけてみてください。

とはいえ習慣がない方はハードルが高いと思うので、事前に読むことで少しでも美術館が楽しくなるような本を置いておきますね。

↑アートの楽しみ方を理解できる本

↑「意味不明」な現代アートが面白く感じられる本。専門用語もわかりやすく、幅広く網羅されています

センスが良い人と共に行動する

ここまで紹介したことを意識していると、たくさん知識もついて、センスが良いとされている人とまともに張り合ってお話しできるようになるので、そうなれたら友達になり、とにかくいろんなことに巻き込んでもらいましょう。

センス磨き仲間を作って、週末にセンスを磨く過ごし方を一緒にしても良いです。(私は新卒時代のデザイナーの同期とよくやっていた)

他にも尊敬するデザイナーの先輩にひっついて、美術館やら歌舞伎やら音楽イベントやらに付き添わせていただいたりしていました!

最後に

ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
こんな風に周りのセンスが良い人たちから学ばせていただき、副業では夢だったジュエリーブランドを立ち上げたり、本業ではインハウスのデザイナーとして伸び伸びと働くことができて日々感謝の気持ちでいっぱいです…。

↑私がデザイン〜ディレクションを勤めているジュエリーブランドはこちら


↑「美しい」を追求するべく(もがき苦しみながら)全力で書いてるマガジン

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