8.ブラック発覚!
ゴウキさん異変に気づいたのは、東京に帰って来て1週間ほどたった頃だった。
電話で話す内容が、どんどんネガティブになっていった。
仕事で皿洗いばかりやらされているだけでなく、オーナーから何をやっても強い口調でダメ出しされたり、無視されるようになってしまったそう。
研修中や、お店に来て欲しい!と口説かれていた時とは、態度がガラリとかわってしまったオーナー。何があったのかわからないけれど、1ヶ月無休で朝から晩まで働いたお給料の振込金額が18万円だったというのを聞いて、私は唖然とした。家賃がタダとは言え、聞いていた話と全然違う!
夢にまで見たクリエイティブな仕事ができる職場は、実はブラックだった。ゴウキさんも私も、信じたくない。と思った。でも、明らかにおかしい。
嫌な予感は的中してしまったようだ。
「しばらくお仕事休みなよ、聞いていた話と全然違うし、心配だよ;;」
そう言うも、変に真面目なゴウキさん。自分が抜けると、他のスタッフが大変だからと、「頭が痛い、寝れない、辛い」と言いつつも毎日出社していた。
日が経つにつれ、楽しかった毎晩の電話も、「自分がわるい。自分がうまくできないせいで、みんなに迷惑をかけている。体調が悪いけど、タダで今の家も住まわせてもらっているのに、休んだりできない、でもずっと辛くて眠れない。」
というネガティブな話ばかりになってしまった。
今だからこそ、理解できたことなのだが、ゴウキさんの性格上、褒められたり、まわりが喜んでいると、どんなに大変なことでもやり遂げるのに、否定されたり、必要とされてないと思うと、パフォーマンスが急激に落ちてしまい、自分を責めて悩んでしまうのだ。
しかし、当時は「自信満々のなんでもできる天才ゴウキさん」だと思っていたので、こんなに自信のないゴウキさんを見るのがはじめてで、私は完全に戸惑ってどう接したらいいか分からなくなってしまった。
「今日、変な寝癖がついちゃったよ」
以前のように、くだらないメールをして笑いたい。気を紛らわそうと何気ない写真を送って、話をそらしたりもしたけれど、根本的な解決にはならなかった。
これから、どうしよう
今の仕事は、すぐにでも辞めたほうがいい。
私はそう思っていた。でも、その後はどうしたらいいだろうか?
今いる福岡、もしくは実家の大分で就職しなおすべきか? 東京にきて就職し直すべきか?
ちなみに、前の会社には戻れないのかな?と思い、そういう提案をするも、新卒で入社して、自己都合で退職しているので一度やめたら中途入社はほぼ認められていないとのこと。
今までやっていた鑑定人の仕事を、フリーでやるのはどうか?という提案をしてみたけれど、鑑定人という資格は、その会社に所属している時のみ、活かされる資格で、フリーで活動すると言うのは難しいとのこと。
そういうこともあり、今の仕事を辞めたとしてもすぐに次の仕事が見つかるか分からない状況に、ゴウキさんは八方塞がり。毎日ひどい事を言われながらも、今の仕事を続けるしかないという選択しかできないでいた。
私の想い
ほんとうは、すぐにでも「仕事を辞めて、東京においでよ」そう言ってあげたかったのだが、なかなかその一言が言えない私。
元気のないゴウキさんは、私が今まで知っていたゴウキさんではなかった。そう思った時に、急に不安になってしまった。
もしかしたら、ゴウキさんはずっとこのまま悩み続けてしまうかもしれない。東京に呼んだとしても、しばらく働けないかもしれないし、こんなネガティブな状態のゴウキさんを私が養っていくくらいの覚悟はあるのか。
それに、この事を両親になんて話そう。もし、自分の進路の時のように、結婚に反対されたらどうしよう。そんな気持ちもあった。
色々なモヤモヤが溢れて来て、私自身も自信をなくし、「仕事やめて、今すぐこっちにおいでよ」というその一言をが言えずにいたのだ。
しかし、益子の陶器市で一緒に買った、お気に入りのお皿を落として、割ってしまった日、「このままではいけない。」そう、思った。
前に進もう
このまま悩んでいても答えは出ない。
そうだ、こういう時は占いだ!
大きな決断をする時はこれ。自分の気持ちを確かめるべく、私はお決まりの占い師巡りをすることにした。
悩んでいても仕方がない。行動すれば、道は開ける!
そう決意した朝。ウッドブラインドの隙間から漏れる日差しがとても綺麗だった。
次回、占い師巡り、恋愛編です!
サポートいただいたお金は、夫婦でお揃いの服を買うために、使わせていただきます^^