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益田ミリという沼

私の母は読書家ですが、父・娘・息子に部屋を譲った彼女の居場所はリビングで、全ての本は一つのクローゼットに押し込まれていました。
私が高校生の頃、塾の国語のテストで読んだ銀河鉄道の夜が面白かったと母に話すと、あのクローゼットに入ってるよとのことで、初めてその扉を自分から開きました。
上から順に指で追うと、銀河鉄道の夜は確かにそこにありました。
せっかくだからと隙間なく並べられた背表紙を眺めると、推理小説やミステリー小説が大半を占め、あとは星進一と健康の本と料理の本が少し。
なんと宮沢賢治は1冊だけ。
もしも国語のテストが風の又三郎だったら自腹を切るところでした。
随分と偏った本棚を見せつけられたので、エッセイとかないの?と聞くと、『人の人生にはあまり興味がないから』とのことでした。

転がるマイメロ


一方私はエッセイ大好き♡人の人生大好き♡なので、本棚の半分はエッセイ本です。
中でも今年に入ってから出会った益田ミリさんの作品が激熱で、順調に追いかけています。
何年前の作品を読んでも、これ昨日のブログ?って感じる不思議な魅力があって、年齢も離れた他人事なのにすごくしっくりきてしまいます。
ミリさんの楽しい!も、つらい~も、なぜか『わかる~!』となるし、友達と旅行したよなんて特別な話があると、『え~!よかったじゃ~ん!』と思ってしまうのです。

女という生きものを先ほど読み終えました。
私自身は女性ですが、今まで女性であるということに対して特に何かを考えたり、絶望したりすることなく、のんびりのほほんと生きてきました。
生理痛が酷くて寝込んでいる時、体育で走って胸が痛かった時、電車で痴漢に遭った時、出産の時などやはり痛かったり辛かったりした出来事に関しては思うこともありますが、だからといって男が良かったなーと思うこともなかったです。
女が男がじゃなくて、人それぞれしんどいことはあるでしょうという感じ。
でもミリさんの女あるあるって本物で、もうあまりにもあるあるで、共感が止まらないんですよね~ハハッ。
だから面白いのかなと思います。
ゆるりとふわりと、たんぽぽの綿毛で心臓を刺されるような快感があとを引く、益田ミリ節の虜です。
この沼は深いな~。

#読書感想文  #エッセイ #益田ミリ #女という生きもの

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