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支払査定のリアル②ネット保険の現状と募集人の役割

はじめに

保険業界でない方にも読んで欲しい、支払査定のリアルについて、全3回でまとめます。

支払査定とは、

保険会社・共済組合などが客の請求を受け、
支払うべき保険金の金額を調査決定すること

前回の記事はこちら!

・支払査定チームのスタンスは「保険金を払いたい」
・保険金を受け取ってもらうために、保険の最新の情報をお客様に届けて欲しいこと

について、伺ったことをまとめていきました。

第一回の反響が凄く、大変嬉しいです。
Twitterで頂いたリプや引用RTは、査定さんもご覧になっています。
「嬉しいです」と感想を頂けました。
もしよかったら、noteかTwitterにてコメント頂くと、査定さんに感想をお届けできるので、僕のコメント欄やリプ欄をお使いください。

今回は、ネット保険で今起こっていることと、募集人の役割についてまとめていきます。

1、ネット保険で今起きていること

ライフネット生命の4月の契約件数が200%増加したことがニュースになりました。

実際に、コロナが流行りだしてからはネットの申し込みが増えて、新契約部門は残業が多くなったと仰っていました。

ネット保険に加入の際に起きていることで驚いたことを3つ取り上げます。

まず、1つ目。謝絶(保険に入れない)が多いこと。

そもそも「入れない場合がある」ということを理解しているお客様は少ないそうです。保険募集人の一次選択もないので、保険料の安さなどでネット保険を申込みます。
その際に、職業・年収の申告や健康上の告知を行います。

「職業」「年収」「身体上の理由」等で、謝絶になってしまうことがあります(特にネット生保だと、割増保険料などの特別条件を扱っていない、再保険という仕組みを使っていないなどの理由で、「身体上の理由」の謝絶も多いそうです。)

お客さんとしては謝絶の理由もわからないので、不安になり、入れないとなると入りたくなるのが人間というもの。
その後同時に複数社の申込みを行う方もいらっしゃるとのことです。

そうすると、その後どうなるか。
「契約内容登録制度・契約内容照会制度※」で保険会社が複数申し込みを把握します。

※契約内容登録制度・契約内容照会制度
保険の申込みがあった場合、一定の条件で業界のネットワークに登録する制度。約款にも載っていて、ネット生保では申込時にも表示。
保険会社は他社申込状況を把握できます。

同時に多数の会社に申し込んでいる人は、それだけで「怪しい」となり、謝絶になってしまうこともあるそうです。

仮に日額1万円の医療保険を4社同時に申し込んでいたら、1か月の入院給付金は120万円(1万円×30日×4社分)。
こんなに保険料払えるの?不正取得目的では?と色々勘繰られてしまうのも仕方ないのかもしれません。

一方、対面申込であれば、保険募集人がお客様の状況をヒアリングし、加入できる可能性がある会社に申し込みをすることができます。
複数社に申し込む場合でも、募集人から保険会社へ、複数申し込みの正当な理由を説明することができます。

2つ目は、契約解除も少なくないこと。

敢えて告知しなかったり、告知を忘れていたり、ちょっとくらいいいか、という気持ちになることがよくあるそうです。

お支払い頂いた保険料をお返しできずに解除になるケースも多いので、対応に当たる際には非常に心苦しいとのことでした。

「たとえ告知義務違反があったとしても、その方が病気であるという事実には変わりはない。大変な状況にある方に何も支払えないということはキツイ」と仰っていました。

病院に運ばれてベッドに寝ている間に、スマホで保険に入る手続きをした方がいてすぐに解除になった、なんてケースもあったそうです。

3つ目は、請求時に加入者の手間がかかること。

保険金や給付金の請求を全て加入者の方自ら行って頂く必要があります。
普段書きなれた書類ではないので、不備も多いそうです。

「請求者」=「病気やケガをされたご本人やお亡くなりになった方のご遺族」です。
不備が出るとただでさえ大変な中、請求をしたくない!と手続きが滞ってしまうこともあるそうです。

これらのことから、ネット保険もやっていた査定さん曰く、

「最近ではどこでも保険金コールセンターがあって、書類はお客様へ直送されることが多い。
でも、できれば募集人の方がサポートしてくださるとありがたい。」

「“書類が送られてきますからね。○○さんが口座などを書くもの(請求書)と、病院でもらってきてもらうもの(診断書)があるんです。”
といった見通しがわかるだけで安心できる人もいる。」

とのことでした。

支払いの内部にいながら、募集人と同じかそれ以上のお客様目線であることに感動しっぱなしでした。

2、保険募集人の役割

保険募集人として、こんな役割を果たして欲しいという思いを伺いました。

募集人でない方も、ご自身の担当の方を思い浮かべながら読んでみてくださいね。

・最新情報の提供
昨日書いた通りです。

・告知はしっかり
保険金をお支払いするために、告知に漏れがないように。
女性に多い疾病や不妊症の治療などは言いづらいことは、漏れるケースが多いそうです。

・ご契約時の説明きっちり
「出ると思っていたのに出なかった」は一番辛いので、きちんと説明して理解してもらう努力を。
募集人さんにも、「給付金が出ないことがある」ということを、もっと知って欲しい、とのことでした。

・請求の時こそ活躍の機会
請求書の書き方や診断書のフォローは、お客様に本当に喜ばれるそうです。
電話口でお客様に「担当の〇〇さんに本当に良くしてもらって」「うちは○○さんにおまかせしてるので安心です」と言われることもあるそうです。

まとめ

本日は

・ネット保険の現状

・募集人の役割

について整理してきました。

ネット保険での告知は現状書いた通りですが、個人的には今後技術革新により精度があがる可能性があると思っています。

3時間丸々お話をお伺いしたので、まだまだ書きたいことがありますので、明日続きます。

明日は、再保険会社とLGBTや発達障害が保険に入りづらい医務的以外の理由についてまとめていきます。

今回の記事は、リリースする前に査定さんに添削して頂いた部分もたくさんありますが、書きながら泣きそうになるぐらい感動しっぱなしでした。

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