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おじいちゃんのジャケット

転職してからスーツを着る機会がぐっと減りました。

これまでは毎日スーツでした。365日中350日はスーツ。

最近は基本的には私服。
スーツが嫌なわけでは決してないけれど、服装が自由に選べるようになって嬉しいことがあります。

それは、15年前に亡くなったおじいちゃんの形見のジャケットを毎日着れること。

ジャケットをもらったのは15年前ですが、僕が小さい時からおじいちゃんが着ていたものから、少なくとも30年以上は前のもの。

ハンチングにジャケット、ロープタイ、少し長めの白髪を後ろに流している、いつもお洒落で優しいおじいちゃん。

おじいちゃんは僕よりも背が10センチほど高かったから、サイズが合わないのは分かっていたけれど、遺品を整理している母に「いる?」と聞かれ「いる」と二つ返事で譲り受けました。

サイズが違っていたことや、社会人になってからはスーツばかりで私服を着る機会が少なかったため、タンスの肥やしになっていたジャケットを今年になってようやくリサイズしました。
きっかけは、モノが捨てられずにどんどん増え続ける僕に業を煮やした妻が「着ないなら捨てよう」と発破をかけたこと。
着ないからといって、流石におじいちゃんの形見を売ったり捨てることはできません。
きっとそれが分かっていて、発破をかけてくれたのだろうと思います。

リサイズから戻ってきたジャケットは、今でも普通に着れるものでした。ただ、毎日スーツばかりで着るタイミングがない。

結局タンスの肥やしになってしまうのかと思っていたら、今回の転職で毎日着れています。

譲り受けてから15年間何もしていなかったのに、今年リサイズして今年のうちに毎日着れる機会が訪れるなんて不思議なものです。

肩パッドが入っていたり、四角いシルエットだったりするので、トレンドではないかもしれませんが、服好きだったおじいちゃんの魂が宿ってる気がするんですよね。

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これはジャケットの内ポケット下の苗字の刺繍。リサイズ屋さん曰く、当時オーダーで仕立てたものだろうとのこと。

この刺繍がおじいちゃんに守ってもらっているみたいで、嬉しいのです。

サムネイルの写真もこのジャケットです。

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密かな希望は、このジャケットが可愛いデザインなので、娘が大きくなって「パパのジャケット欲しい」って言ってくれたらいいなってこと。

その時には、お洒落だったひいおじいちゃんの話をたくさんしてあげよう。

そんな日が来るまで、丁寧に着続けようと思います。

明日もこのジャケットを着て、僕は仕事に行きます。

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