その人、鋪道にて

鋪道に腰掛け通り過ぎる女と男を眺めた。バックから菓子パンを取り出した。半額シールが貼り付けられた、それは自分で付けたものだ。
口に広がるのは唾液と砂糖に漬けされた柔らかい塊で、信号のは赤、目の前を黒いバンが通り去っていく。
目の前は暗い。陽が落ちて、雲はない。ただ星は見える。眼鏡がなくても見える。ここは田舎だから。
スーパーのバイトに戻った。以前は早朝勤務だった。今は夜の方に入った。主に品出し、掃除、値引きだ。
頭から喉から足から業務に専念させて、溶けていく感覚がある。このままじっくりと死んでいくような気がする。

菓子パンを齧り夜風が頬にあたる。
独りイヤホンを耳にはめる。21歳、殴られる音に果てる根気が、誰かに話したい。今はもう右にも左にも誰もいない。

ガードレールから離れて歩き出す。

毎日マックポテト食べたいです