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でらぼう日記

この男、鏡の前に立ち、浮かぶ二つの思いの内の後の方を掴んで髭を剃る。蛇口を捻り、両手でコップを作り水を汲み顔にかける。排水溝に流れていく髭を目で辿り洗面所を後にする。
その前に思い立ち、靴下をとって履く。

キッチンに行き水筒をバックに入れ、紺色のズボンを履いて、ヨーダが背中にプリントされた乳首が透けて見えるシャツを着る。
コップで水を飲む。玄関に向かい汚れた靴を履いて外に出る。まだ夏の名残がある。人はいない。

男はバイトを始めた。金がないからである。それ以外に理由はない。故に自由に引き出せる金を所持していたらバイトなんてものはしたくないと考えている。

俺はなんでバイトなんてせないかんのだ。
不満が路上にへばりつく。足が時折止まる。
バイトの何が嫌か、それはバイト先に行くことである。勤務時間まで家にいるが、その際もバイトのことばかり考えて読書も音楽鑑賞と映画鑑賞も真面目に取り組むことができない。

目の前を猫が横切った。
車と車の合間を乗り越えて現れた。
この男に笑みが浮かんだ。

毎日マックポテト食べたいです