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茜色の夕日

パソコンの前に座り、肩肘を付く。そして画面を眺めうなだれている。
バイト募集のページを次から次へとスクロールしていく、そうすればそうする程に精神が下降していくような気がする。
街は夕暮れに染まり、もう真夏のピークは去ったなと思った。
近所の公園に突き刺さったスピーカーから子供の帰りを促すようにチャイムが轟く。このチャイムに僕の居場所はない。

昨日、うだる夏に身体がやられ、部屋でくたばっていると二件の電話があった。そのどちらともがバイト関連の電話であった。そしてその二つとも定員が埋まったとの連絡だった。つまり僕はバイトにありつけなかった。
渾身の思いで応募したのに、また一から応募することになった。
そして今、パソコンの前に居る。

次第に窓の外は暗くなって、舗道の街灯が光った。その明かりが部屋に入ってきて、特段部屋の蛍光灯を付ける必要を感じないといった、不思議なやせ我慢を10分ほど貫いた後明かりをつけた。すると部屋はパッと弾けるように輝いて、本棚にある黒色の紙に緑色で書かれた西村賢太さんの「苦役列車」の単行本の文字がよく見えた。窓の明かりは薄くなった。
月があり、その下に雲がある。眼鏡を掛けると星が見えた。
僕は椅子に座り、水を飲んで、パソコンを眺めた。数か月前に個人的な事情で辞めたバイト先のナイトスタッフ募集の文字にぶち当たった。一先ず、連絡だけしてみよう、そう思った。

毎日マックポテト食べたいです