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隣の犬

風は澄んで、透明の空。
私の見える範囲での空には雲が千切れがちに浮かんでいて、もし小学生に戻れるとしたら、こんな空を描きたいと思った。
月があった。丸い月。昨日学校からの帰宅途中に見た月とは異なっていて、右側が食べられていた。月が私を見ている。私も月を見ている。
今日もバイトだ。明日も何もなければ、私はバイトに向かっている。

バイトを始めて二ヶ月が経過した。
今日に至るまで、何度かバイトを休もうと思ったことがある。けれど、いざバイトの時刻に近づくと、私の足はバイト先に向かい、いつも通り開始十分前にはその場所にいる。
私にはバイトを休む理由がなかった。休んでまでやりたいこともなかった。だから律儀に時間まで守ってバイトをこなした。
それが二ヶ月続いた。たぶんこのまま続くだろうと思う。

イヤホンを耳に装着して音楽を聴く。
私の足並みは音楽に重なり出す。レコードを買った。一ヶ月に使えるお金が増えたからだ。自分だけのお金だから、自分にしか使わない。

自宅前の並木道を歩いて、それから右に曲がり坂を登る。信号の前に立ち、夜の闇の中でぼんやりと淡く揺れる緑を見ながら佇む。強く風が吹いて、髪が乱れた。隣で犬が吠えた。そのまた隣の黒のランニングウェア着た男が「静かに」と私の靴のあたりに向けて叱った。
犬は優しい吠えて、それから黙った。

私はまだ文章を書く。
やめるようなものじゃないと思う。
ただ書く、それだけである。
バイトはどちらでもよい

毎日マックポテト食べたいです