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水の國の管理者⑤ (夢の創作物語)

ヴヴヴ…

微振動と共に私のすぐ右側に女性型対話ホログラムが現れた。映像が乱れていて、かなり古いタイプのようだった。安定するまで少し時間を要した。

【……ザ…ッ……は…こ……こんにちは。こんにちは。会話は可能ですか?こんにちは。会話は可能ですか?】

『こんにちは。会話は可能です。』

【こんにちは。ああ、よかったです。長いこと起動していないようでしたね。驚かせてしまいましたか?】

『すこし驚きました。聞きたいことがたくさんあります。よろしいですか?』

【はい。どうぞ。キーワード登録されているものはすべてお話することができます。適合者には、インプットされているメッセージもお伝えしなければなりません。】

『まず、この小さき生命体は生き返ることが可能ですか?』

【可能です。そちらの生命体は一時的に誘導操作のために使用されました。目的が達成され次第、自動回復がはじまります。そしてその装置はたったいま起動しました。】

『ありがとうございます。では、次にこの國のことと、あちらの…あの大きな生命体のことをお話願います。』

【はい。まず、こちらをごらんください。】

ヴヴヴヴ……

また微振動がはじまり、目の前に大きなスクリーンが現れた。そこにはかつてこの國を治めていたであろう巨大な人魚の勇ましい姿が動いていた。

【これは、初代の管理者であり、この國の王の姿です。】

まだこの國が安定しない頃からのダイジェスト版の歴史映像のようで、統治までに苦労していたようだった。私は、抱いている小さき生命体を2回チラチラ確認した。首もとのライトが薄く点滅していた。

【國が安定し、繁栄をして、後継ぎが2名候補にあがりました。しかし、ここの水の國と諸外國とに問題が生じました。管理者は、一部条約を破棄しました。】

『はい。そのようですね。管理者の次期候補はいまどちらですか?』

【こちらをごらんください。この者たちが、管理者の次期候補の息子と娘になります。まだ幼体のため、管理者はあらゆる危険性を考慮し、一時的に諸外國の管轄から隔離する決断をしました。】

沈黙のまま奥に横たわる黒い朽ち果てた管理者の思惑がわかるにつれて、これ以上、意識操作されぬように私はもう一度自己強化シールドを張り直した。

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