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エストニアの状況が気になって。。。

スペインで非常事態宣言が出るちょうど1週間前、今から2ヶ月ほど前、私はエストニアに旅行に行っていました。以前、一度そのことに触れた記事を書いています。↓

実は、スペインで非常事態宣言が出たことで、その直前に訪れたエストニアの状況が気になっており、その後たびたびエストニアの状況をチェックしていたのでした。それほど多くの情報もなく、実際に住んでいるわけでもないので、確実なことは言えませんが、少し書いてみようと思います(もっと早くこの記事を書きたいと思っていたのですが、スペインのことだけで毎日書くことがあり過ぎて今になってしまった次第。。。)。

エストニアで緊急事態宣言が出たのはスペインの1日前の3月12日。この時点で感染者数は20名前後だったと思います。私がエストニアを出国したのは3月10日だったのですが、おそらくその時点で既に入国者に対してはサーマルカメラによる体温チェックが導入されていたと思われます(というのは、日付的に導入の時期と重なっているのですが、出国者に関しては厳しい制限を設けていなかったからか、出国時の体温チェックはなかったので、実際どうだったのかは不明)。その後シェンゲン条約の内外を問わず入国者に対する2週間隔離の徹底もされたようなので、本当に間一髪のような状況でした。

今日の時点でエストニアの感染者数は1,741名、死亡者数は61名(El Paísの集計なので、若干の誤差はあるかもしれません)とのこと。この数だけを見ると少ないと感じるかもしれませんが、人口約130万人、つまり日本の人口の100分の1の小国であることを考えると決して少ない数ではないのです。第一次大戦末期の独立戦争や旧ソ連による共産主義支配などを通じて人口が極端に減少した歴史を持つ国なので、今回のパンデミックにおける水際対策も素早かったのだと思われます(ちなみに私が3月10日にバレンシアに到着した際、空港はノーコントロール状態でした)。

こちらでロックダウンが始まった数日後に、私が訪れたエストニアのいくつかの美術館のホームページをチェックしてみたところ、案の定閉館の案内がありましたが、カフェなどは営業しているようでした。政府のホームページで見ると、美術館、映画館、劇場、クラブ、その他ボーリングなどの遊戯施設は休館、各種イベントも中止となり、教育機関もクローズ(遠隔授業への切り替え)、ただ、エストニアでも不要不急の外出は避けるようにとのことでしたが、ショッピングセンター以外の小売店やレストランなどの営業は許可されていたようです(ショッピングセンター内の食料品店、薬局、銀行等の営業は可、レストランはテイクアウトのみOK)。ただし、レストラン等飲食業は夜10時に閉店(その後の時間のテイクアウトは可)、アルコールの販売・提供も夜10時から朝の10時まで禁止となっていました。興味深いのは、きちんと理由が添えられていたことで、「アルコールの(大量)摂取による事件等は医療機関や警察の負担になるため」とあり、つまり、酔っ払いに構っている余裕はありません、ということらしい。納得。

また、小売店やレストランはもちろん、屋外においても”2+2”(2人まで+2mのソーシャルディスタンス)の徹底も緊急事態下の規定に盛り込まれていました。特筆すべき点は、これらの情報はすべてのエストニア国民(居住者)にメールやSMSで知らせます、と政府が発表していること。政府に登録されたメールアドレスに加え、各携帯会社のオペレーターによりSMSでも送られるということで、この辺りはさすがIT先進国のエストニアらしい。

さらにすごいのは、自宅待機の感染者が外出すると2,000€の罰金が取られるということ。警察と医療機関が連携しているとのことで、これはある意味強烈。。。感染者と同居している人も不要不急の外出をする際は必ずIDカードを携帯するようにと但し書きがされています。
といった具合で、エストニアの対策は緩急のメリハリのついたものとなっているようです。

そして、現在。4月の下旬に5月17日まで緊急事態の延長が発表されたものの、5月に入ってからは緩和の動きが一気に加速したようで、通常の状態を取り戻しつつあるようです。私が訪れた美術館で既に今週再開館しているところもあります。5月8日の政府のアナウンスでは、「人々の努力のおかげで健康の危機は克服した」「困難な状態はまだ終わっていないが、これからは未来にフォーカスし、社会的経済的な挑戦をスタートする時である」とありました。今日5月12日のアナウンスでは、コロナの感染拡大を防ぐために”Stay healthy”キャンペーンと銘打って、2mのソーシャルディスタンス、手洗い等の衛生の徹底、病気になったら家にいる、これらを引き続き継続するよう呼びかけていました(ポスターなどの素材ファイルも用意されています!)。ちなみに、この国では”New Normal”という表現を使っていないのも興味深い。私も個人的にそのスタンスでいいと思っている派です。

と、ここまで長々と書いてきましたが、スペインで非常事態宣言が出る直前に訪れたエストニアのことがとても気になっていて、頻繁にチェックしていた情報をまとめてみました。ただ、エストニア政府のアナウンスをベースにしているものの、実際にエストニアで暮らしているわけではないので生の情報とはいかないのですが、個人的にはいろいろ勉強になりました。

エストニアは本当に良いところで、ぜひまた訪れたい国。まだまだ時間はかかりそうですが、近い将来また行けると良いなあ、と思っている次第です。

* 冒頭の写真は、私が滞在していたタリンのアパートメントホテル近辺の様子。3月初旬のタリンの気温は日中でも5℃ぐらいで、人通りもこんな感じ。既にロックダウン状態?の光景。もちろん屋内にはそれなりに人はいますが、ソーシャルディスタンスの確保はそれほど難しくないという印象。また、人々も大声で話すこともなく、基本的に団体行動も少ない感じがしました(カフェに一人でいる人も結構いる)。また、若者たちが待ち合わせている状況も目にしましたが、ハグやキスなどフィジカルコンタクトが多い感じもしなかったので、少なくともスペイン人よりは感染リスクは低いかな、と思いました。その他、元々寒い季節が多いのでお家にいることにも慣れているだろうし、IT先進国であるので、オンライン授業やテレワークへの移行もスムーズに行われたことが予想されます。これらのことを総合すると、他の欧州諸国よりも緩和のスピードが速かったのも肯けますし、軽やかに通常を取り戻していけるのでは?と個人的には思っています。
そして、スペインは。。。まだまだ道のりが長いです。。。

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