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切なさは幸せに変換する

「今を一生懸命生きていたいんです」

私がそう言うと大体驚かれて、「しっかりしているね」「よく考えてるね」と言われる。
でも本当にそう思っているしかっこつけているわけではない。
別に難病にかかって余命宣告されたとか、時限爆弾を巻き付けているわけではない。
でも人生を生きていたら、この瞬間、この時のすべてを一生覚えていたい、丁寧に糸を紡いでつなぎ合わせた今を、小瓶にいれてふとした時に思い出したい、そう思う一瞬に出合うときがあるのだ。
今日そう思えることがあったから、ここに残したい。
お酒が入って日付も超えてる、だからロマンチックになっているだけかもしれない。
それでもいい、ただこの感覚を覚えていたい、そんな備忘録である。

2024年6月28日は今の会社の人と集まれる最後の日だった。
私はsIer(エスアイヤー)という働き方のエンジニアをしている。この働き方というのは、他の企業のプロジェクトでエンジニアとしてプログラミングなどを行う働き方だ。
つまり、普段は自社の人ではなく他社の方々と大半の時間を過ごしている。そのため月に一度、帰社日といって自社に帰って軽い研修と懇親会を行う日がある。
今日がその帰社日だった。
今年の4月本格的に転職を考えだした私はついに最後の帰社日を迎えた。

私が所属していた部は元気で明るい女性社員数名と大人しそうだけど個性的な男性社員の集まりだった。
今となっては女性のエンジニアも増えてきたし、新入社員も女性がとても多くなってきたが、私が入社したころはまだ女性が少なかった。
そんな中で所属が決まった部の女性先輩社員はとても気さくで、周りをよく見ていて、すぐに私を仲間に入れてくれた。すごく嬉しかった。
男性の先輩社員の方々も、とても気遣いができてそれぞれの距離感で仲良くしてくれた。
言葉で書き表すのは難しいけど、胸が熱くなるくらい人にはとても恵まれていて、これだけでもこの会社に入社した価値はあったと思える。

転職はポジティブな理由だった。
自称自分向上委員会会長の私は、常に何かしら学んでいきたいという性質があるようで、今回もなりたい自分像がはっきりと見えてしまい、それは今の会社では実現が難しいことでもあった。

だからより、今日の別れが切なかった。大好きだった。
会社や周りのことが嫌いになれたら心が楽だったかもしれない。
でも、切なく感じられることを幸せに思うことにする。
それだけ私にとっては今の会社の方との出会いが学びであり愛だったから。
駅でお別れをするときの皆さんの顔がちゃんと焼き付いている。

この文章を見られたら本当に恥ずかしいからお酒と夜中の執筆のせいにするけど、いつか見返してまたこの気持ちを思い出したい。

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