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2019年!面白かった本ベスト10

今年の更新はこれで最後の予定です!この時期になると書きたくなる、そう、今年読んで面白かった本!

今回は「今年発売された本」に絞って選書してみました。かなり偏りがありますがぜひ見ていってください!

今年の漫画はこれらに尽きる

私は普段漫画を読まないんですが、これらにはやられた…。面白すぎて、何度となく読み返しています。

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夢中さ、きみに。/和山やま

帯に古屋兎丸さんのコメントがあるのですが、和山さんの表現も古谷さんに通じるものがあって、画風がどことなくおどろおどろしい。内容が男子高校生の日常を描いているはずなのに、あんまり爽やかじゃない。覗き見しているようで、ちょっと申し訳ない気持ちになる。

でも、多感な時期の男子たちの複雑な心の揺れ動きと、この画風がすごくマッチしている。規定の枠に収まらない、新しい表現…!としか言いようがない。男子高校生への愛が、少し歪んだ形で私たちに伝わりつつ、それが独自の魅力を放っている名作です。

もう私好きすぎて、娘にも勧めちゃって親子でハマっています。特に娘、勉強しなきゃいけないときに、「うあ〜!二階堂くんのエピソード読みたいよ〜!」と禁断症状が出ちゃって困ってます。

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MOGUMOGU食べ歩きくま

こちらも娘と楽しく読んでいる本です。今年は魅力的なキャラクターにたくさん出会えました。コウペンちゃんとか、タヌキとキツネとか。

その中でも私と娘が漫画として楽しめたのはこちらでした。ナガノさんの世界中の食べ歩きレポ。ユーモアのあるキャラクターと表現で、疲れたときの読み物にもピッタリ。旅に行きたくなります!

札幌にも来てくれたり、私や娘も言ったことがある場所が書かれていたり。そうなると余計嬉しいですよね!

手探りサイエンス

サイエンスに関する本も選んでみましたよ!「科学ってよくわからない…」という方でも手に取りやすい本を選んでみました。

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かがくのとものもと/かがくのとも編集部

「かがくのとも」。懐かしい~!って声が聞こえますねあちらこちらから。様々な分野の「サイエンス」を子どもに伝える絵本。その源泉は何か?50年の歩みとは?を描いた大型本です。現在進行形で読んでいる子供向け…というよりは、あの頃「かがくのとも」を読んでいた私たち大人向けの本だと思います。もちろん読んでいなくても、ビジュアルが美しいのでページをめくるだけで楽しい。

SNSで個人が自由に情報発信できる今、サイエンスコミュニケーションの重要性、そしてその真価が問われています。私もTwitterなどで明らかなニセ科学やデマを見るたび頭を抱えてしまいます。偽物を本物のように見せることばかりが上手くなってしまうこの時代、改めて「かがくのとも」が歩み、発信してきた道のりをたどることに、ちゃんとした意味があると思います。

「心血」に触れる

書き手の「心血」に心がざわついた本もたくさんありました。2つご紹介します。

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ナウシカ考 風の谷の黙示録/赤坂憲雄

「黙示録に死の接吻を。」うわーーーこの帯のコピーだけでやられたーーーとなる一冊。漫画版「風の谷のナウシカ」の重厚で複雑、幾重にも畳まれたレイヤーによって成り立つ世界観を丁寧に読みほどく一冊です。

漫画版「風の谷のナウシカ」が発売されてから25年。その間ずっと、ナウシカを取り巻く思想について試行し続けてきた著者の集大成的な本著。良いなと思ったのが、著者の文体がとにかく読みやすく、私もこんな風に文章を書いてみたい、と思わされる点です。

私、梯久美子さんの「狂うひと 『死の棘』の妻・島尾ミホ」という一冊が大好きで、島尾敏雄や島尾ミホを知らなくてもひとつの読み物として面白い点がとにかく素晴らしいんです。この「ナウシカ考」もまさにそういう一冊で、漫画版のナウシカを読んだことがなくても面白い、と思う。

そういう「取り上げられている作品の『周り』から読む」という読み方を今年は結構してきたのですが、先入観を植え付けられるのでは…?という懸念はありつつも、自分の批評性をかなり試されるのでスリリングでした。

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在野研究ビギナーズ 勝手にはじめる研究生活/荒木優太

今年はこのニュースが本当に悲しかった…。どうしてこの方が自ら命を絶たなければならなかったのか…。私は自分自身を、ミュージアムグッズの作り手ではないし、研究で飯を食っているわけでもない、「在野」の人間だと捉えています。自分で仕事を作っていかなくてはならず、食えない時期も長かったので、自分事のように悔しくて…。

じゃあ研究で食えなければ研究をしてはいけないのか?どうやって自分のテーマと向き合いながら生きていけばいいのか?私は悩んで、今の「ミュージアムグッズ愛好家」という活動をしています。答えは出ません。でもひとつのモデルにはなれるかもしれない。本書はその一つの事例を紹介してくれています。

ハンドメイドというアプローチ

今年はハンドメイド作家の作品集などもいくつか読みましたが、これはぜひ多くの人に読まれてほしい…!と思った本が2冊あるので紹介します。

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蛾売りおじさんのめくるめく蛾の世界/蛾売りおじさん

昆虫にまつわる作家さんとして界隈では大人気の蛾売りおじさん。その作品集が!出た!のです。この表紙の蛾たち、実物ではなく主に刺繍で製作された作品です。

ずっとずっと好きなのですが未だに作品をゲットできていなくて、フラストレーションが溜まっています。「ヨナグニサンのブローチをつけてちょっとしたパーティに行きたいんや!」と大声で叫びたい。

「そうは言っても蛾って地味でしょ?」というあなたにこそ手に取ってほしい一冊です。多様な蛾の世界、それに憑りつかれた作者の再現性と作家性のバランスが素晴らしいんだから!

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刺繍博物図/atsumi

「原生生物の刺繍をしたいけどどう図案に落とし込めばいいんだ…?」という私の欲望を満たしてくれる一冊。鉱物、クラゲ、海藻、昆虫、雪の結晶…など「博物図」に弱いそこのあなたのハートをぐいぐい撃ち抜いてくる図案集です。

中でも雪の結晶の図案がすごく好き。中谷宇吉郎を想起させるし、私が今住んでいる地域は北国なのでオールシーズンで完成作品を飾ることができます。

冬休み中に手芸好きな娘と取り組んでみたいな~!あー今から楽しみ。

私の「エッセイ三銃士」

↑にある通り、著書はほぼ買い求めている「エッセイ三銃士」がおりまして、伊藤まさこさん、柳沢小実さん、甲斐みのりさんのお三方が大好きなのです。

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伊藤まさこの買い物バンザイ!/伊藤まさこ

伊藤まさこさん、今年は3冊ほど著書を出版されていると思うのですが、こちらが一番面白かった。買い物をテーマにしたエッセイ。写真も多くて読みやすい。でも何より、このテーマでこんなにたくさんのネタ、切り口があるのかと圧倒されます。私はまだまだだ…。

以前から向田邦子さんに憧れていたと語る伊藤さん、読み手としては「だんだん近づいておりますよ…!」と言いたくなってしまい、本著ではそれが顕著です。その豪快さ、執念ともいうべき貪欲さ。端から見ていてとっても魅力ですし、よくこれを本にまとめてくれました!ありがとうございます!と言いたくなってしまう。

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これからの暮らし計画/柳沢小実

柳沢小実さんは「暮らし」「旅」がテーマのエッセイスト。著書はほとんど持っています。本著は「自分の人生の手綱を握る」がテーマのように感じられて、人生に振り回されっぱなしな私にとってはまさに感謝感謝な一冊です。

「今の暮らしを知る」「日々に満足感を」「自分メンテナンス」「変化に柔軟に」「明日に夢を持つ」の5章で構成されており、この目次を読むだけでもなるほど…と思えることばかり。持ち物もとても素敵だし、柳沢さんが紹介したものを私も購入したこともしばしば…そしてどれもやっぱりステキ!これからも追いかけていきたい方です。

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アイスの旅/甲斐みのり

文筆家として、主に国内を中心に独自の視点で「かわいいもの」を紹介してきた方。特に本著はアイスをテーマに国内をフィールドワーク。かわいいというフィルターを通して、今まであまり目を向けられていなかった「地元のアイス」を紹介しています。

皆がいいというものはそりゃいいのかもしれない。でも、私がいいと思っているものを皆に「これって実は素敵なんだよ!」と紹介することってとっても大事。私のミュージアムグッズにも同じことが言えるかもしれません。その紹介の仕方が甲斐さんはとっても素敵です。参考になります。

おわりに

いやーもう大晦日ですね。今年最後の更新はこちらになります。本当は展覧会ベスト5とかも作りたかったのですが、体力的にここまでですね…。

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