雑文 #177 明けない夜

とにかく夜布団に入る瞬間を楽しみに一日を生きてる昨今なのに、眠れない。
眠っても、変な時間に起きてしまうか、起きる必要のない早朝に目覚めて寝不足で空振りな一日を過ごす。

昨夜は深夜2時に起きた。いや、また寝なきゃ翌日無理だろう。そのまま眠気を待って3時半。諦めて、いろいろやる。お香を焚く。個人的に眠くなる映像作品を観る。一旦諦めて、ようやくまた眠る。

そのまま休日だと楽だが、出勤だと目も当てられない。身体が痛む。私の場合、背中が痛い。ぎしぎし軋む。眠りというオイルが必要。

私は外では眠れない。電車で移動中眠れたのはずっと過去のこと。長い移動でも、ほぼ眠れない。夜行バスなら薬を飲んで寝る。気合いを入れて眠る。

不眠という悩みがある人とない人ってのは、人生違う。生き方が変わるんじゃないかと思う。たとえば外で仕事の休憩中仮眠を取ることができたなら。夜悶々として眠れない、焦りと不安を知らない人生ってばら色じゃないのか。

シェイクスピアの「マクベス」の「明けない夜はない」ってのは誤訳だ。
本当は「明けない夜は長い」なのだ。
「明けない夜はない」なら、慰めでありポジティブな希望だが、「明けない夜は長い」なら絶望でしかない。
意味が180度違ってくる。
これは壮大な誤訳なのである。
と、英文翻訳家の方が書いていたのを昔読んだことがある。
「明けない夜は長い」…当たり前だ。
でもこれは本当に本当に長いのだ。
不眠を経験したことがないとわからないだろう。
悲劇の「マクベス」で「明けない夜はない」なんて、スーパーポジティブなこと言われるわけないでしょ。
明けない夜は長くて長くて耐えられなくて、苦しい。
一般的には「明けない夜はない」が浸透しているから、英文で読み通したわけでもない私にはあの翻訳家さんの説の真偽のほどはわからないけど、たぶん、「明けない夜はないんだけど、眠れないと長くてつらい」

ま、「夜」を「不幸」と見立てて言っているんだろうけれど。

とにかく今、不眠のループから早く抜け出したい。
朝を元気に迎えたい。
軽やかな頭で一日を過ごしたいのだ。

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