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読書日記:君と夏が、鉄塔の上 繋がれた手はまるで送電線

 読むきっかけはAmazon Prime Readingで読めるタイトルになっていたから。三人称のファンではあるがなかなか手を出せずにいた小説を読みました。

 手を出せずにいた理由は、この小説のタイトルにもなっている鉄塔に興味がないこと。読んでも楽しめるかなと思っていたけど、そんな不安は読み始めれば解消されました。

 読んでいてお気に入りの表現があったので、紹介します。

 誰かにためらいなく蓋をされたように、あっけなく夜になった。
 蓋をされた街は、そのままよっこらしょとレンジかオーブンに入れられて、外側からむしむしと熱せられているみたいな暑さだ。

君と夏が、鉄塔の上より引用

 蒸し暑い夜と面白味もなく言ってしまうことができるところを、ユニークに描写しています。こういう描写が他にもいくつかあり、ストーリーとは別の部分でも楽しかった。

 もちろん内容も伏線回収がしっかりしていて、私もこんな風に書けたらなあとぼんやり思いました。賽助さん(鉄塔さん)は多才ですね。

 他の作品、ぼっちのやつとかも読んでみたいです。



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