妹と再会した時の話


妹の名前は比沙乃という
私はずっと比沙野だと思っていた

幼少期に両親の離婚により離れて暮らすようになってから文通で連絡を取っていた
毎年互いの誕生日とクリスマスに手紙やプレゼントを送り合う
まだ小さな妹が手作りのジャムを送ってくれた時は嬉しかったなぁ
でもそれも私が17歳になるころには何となくなくなっていた

文通をやめてから数年、私はSNSで度々妹のことを調べていたけれど見つからずにいた
年末になり大掃除をしていたら妹からの沢山の手紙の束が出てきたのでつい読んでしまう
そこで発覚する

比沙野って、比沙乃!?

正しい漢字でSNSを探したらすぐ見つかり、妹の趣味の友達になろうとアカウントを作る
それからは趣味の合う全くの他人という程でコンタクトを取っていた
ある日妹のSNSを見ていると文化祭の情報があり少し考えてから行くことに決めた

文化祭には一人で行ったが
焼きそばを食べたり催し物を見たり楽しんだ
お化け屋敷には流石に入れなかった
妹の出し物の出番になり見守った
どの子だろう、あ!いた!大きくなったけど面影あるなぁ
この時の気持ちは筆舌に表し難い
表し難いし、表さないでおこう
出し物が終わった妹の後をすぐさま追いかけて声をかえた

「分かりますか?(趣味友の程)」

「分かるよ、お姉ちゃんでしょ」

泣きながら妹が言うものだから私も大号泣
校舎の通路で派手な部外者の女と生徒が人目を憚らず泣いている
私はこの日、蛍光ピンクのカーディガンを着ていた

その後のことは気が動転してあまり覚えてない
写真を撮ったのは覚えてる

文化祭から帰ったその日両親の間でトラブルが起き私は珍しく自分を責めた
トラブルがあったせいでこの出来事からまた数年の時が経ち妹は成人した
お互い成人したので二人で飲みに行くことになった

神田駅で待ち合わせ
文化祭の時は緊張だったり妹の役割もあったりして全然話せなかったのでちゃんと話すのは今回が初めてになる
バクバクと鼓動が鳴っていて自分の心臓の場所がハッキリと分かった
もう少し左にあるもんだと思っていた

約束時刻になったがどうやらお互い違う出口にいたようで
電車に疎い上に方向音痴だったので妹が迎えにきてくれた
お店は私が予約した
地下にある居酒屋で天井がプラネタリウムのようになっており今にして思うと合コンの為にあるようなお店だった
男女3人ずつで向かい合って座るような広い個室に姉妹で座る
色んな話をした
二人とも涙を浮かべるような場面もあったのに、二軒目では何故か秋葉原のメイド喫茶にいた
カラオケも行った
ミュージックバーでシーシャも吸った
酔ってたんだと思う

そんな再会を果たし今では仲良し姉妹です

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?