今すぐ行動したくてうずうずする。「野心のすすめ」

この本を読んでいたのは、主に移動中の電車やバスの中。
目的地まで静かに座っていないといけないのに、すぐに立ち上がって誰かに自分の野心を話したくなってうずうずした、この野心を叶えるために、あれもやっておきたい、これも抑えておきたいと考えがどんどん浮かんで、今すぐバスを降りたくなった。
こんな風にうずうずさせてくれる本に出会えたのはいつぶりなんだろう。


筆者は超有名な林真理子さん。田舎の普通の女の子だった彼女が、いかに野心を使って、普通では実現できないようなことを次々に叶えていって、今のポジションを築いたのかが書かれている一冊。
成功体験を書いているだけでなく、林さん独特のあの軽快な文章で暗黒時代のことや失敗談も書かれているので、クスっと笑いながらあっという間に読めるし、読みながら自分の胸にしまい込んでいた野心がふつふつと熱を帯びていくのを感じる。


特に印象に残ったのは、下記の「運」と「野心」の関係性。
いかに筆者が「運」をつかむために「野心」をうまく使っていき、その結果「強運」になったのかがわかる。

ー運とは、本人の気持ちや努力次第という単純なものだとは私は思っていません。これは本当に不思議なんですが、もっと大きなところ、人間の力が及ばないところにある力が働いているんだと考えています。

中略

人生には、ここが頑張り時だという時があります。そんな時、私は「あっ、いま自分は神様に試されているな」と思う。たとえば、仕事や勉強を必死でやらなければならない時になのに、つい気が緩み、ソファに寝そべってお菓子を食べながらテレビを観ているとします。しばらくするとハッとして、「いかんいかん。この姿も神様に見られているんだから、頑張らなきゃ。」と再び机に向かうんです。
ちゃんと努力を続けていたか、いいかげんにやっていたか。それを神様はちゃんと見ていて、「よし。合格」となったら、その人間を不思議な力で後押ししてくれる。
林真理子「野心のすすめ」より
運というのは一度周り出してくると、まるで、わらしべ長者のように、次はこれ、その次はこの人、と、より大きな幸運を呼ぶ出会いを用意してくれるのです。
しかし、ここで忘れてはなりません。空の上から自分を見ている強運の神様の存在を。強運の合格点を貰うには、ここぞをいうときに、ちゃんと努力を重ねてはいなければならないことを。
その「ここぞという機会」を自分で作り出すのが、野心です。私が強運だと言われているのも、次々といろんなことに挑戦し続けてきたからだと思います。
林真理子「野心のすすめ」より




また、上記のように今は「運」と「野心」をうまく使いこなしている筆者でも、初めは本当にゼロからのスタートとだったことがわかるのが下記のエピソード。

私は、貰った四十通の不採用通知の束をリボンで結んで、宝物にしていたんです。
あまりにのんきというか、正気の沙汰ではないと思われるかもしれませんが、きっといまにこの不採用通知の束を懐かしく眺める日が来るだろう。近い将来、私のところへ取材にきた出版社の人に手紙の束を見せながら、」あなたがいる会社も含めて就職試験、全部落っこちちゃってー」と笑って話せる日が来るだろうと信じていたからです。
林真理子「野心のすすめ」より


私も辛い時こそ、そのことを鮮明に日記に書いて「絶対将来そんなことしてきた人より成功して、あの時こんなことありましたね~って余裕の笑みで言ってやる!」とか、何かのインタビューで苦労話としてネタにしてやる!と思っているので、共通点があるみたいでなんだかうれしい。


と同時に、辛いことにも慣れて、野心も胸にしまい込んで、このままでもいいのかな~あんまりかっこわるいこともしたくないしな~と思ってふやけていた最近の自分に喝を入れたくなる。
もっと自分の心に正直に、野心を持っていいんだ。多少かっこ悪くたっていいんだ、自分の人生だもの。と、素直に思えた。

この本を読んで、久しぶりに自分の野心を向き合って、この野心を、見なかったことにしないで、大切に持っていきたい、叶えていこうと決めた。

・今の人生でもそこそこ満足しているけど、本当は…と思っている方や、
・忙しすぎてなかなか自分と向き合えていない
・なんか人生つまんないけど、なんでなのかわからない
という方にこそ読んでもらいたい一冊。

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