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ようちえんのせんせい①

「ようちえんのせんせい」になったものの、ものすごく大変だった。とにかく朝が早い。

8時業務開始のはずなのに、7:30には全員準備万端で職員室にそろっていた。8時から全員で業務を開始できるように、7:30には自席で作業をする。バス当番の週には7:30に出発するので、さらに早く行かなければならなかった。

8:30には子どもたちが登園してくるので、出迎えの準備。登園するなり、「せんせい!鬼ごっこしよう!!」など誘われ、8:30から鬼ごっこをスタートさせる。鬼ごっこをしているとクラス・学年関係なく次々と子どもが集まる。1年目の先生は子どもたちもめずらしいので積極的に捕まえようとして、狙われまくる。年長児はめちゃくちゃ脚がはやいので追いつかないし、すぐ捕まる。先輩の先生たちも「モモタウせんせいが元気だから鬼ごっこはモモタウせんせいをしてきな^^」とこちらに兵を派遣してくる。若手はとにかく体力遊び要員にされる。真夏でも炎天下を走る。(自分に後輩ができたときは本当に安心した。)もともと運動がきらいなので本当につらかった。子どもの時から鬼ごっこは嫌いだった。走っているのが疲れるし、鬼ごっこならかくれんぼをしたいタイプだった。

ということで、鬼ごっこに誘われたら、ドロケイを提案し、泥棒なら「あ~つかまちゃったァァ~!!」とすぐ捕まるよう心がけ、警察なら「せんせいがここで見張ってるからね!!」と牢屋を見守る門番に徹した。慣れてくると、「今日は砂遊びにしない??」と提案し、なんとか日陰で座って過ごせるように努めた。

本気で遊んであげてよ、と思われるかもしれないけれど、まだ8:30。午後の外遊びもある。運動会シーズンならずーーと走り回る。こどもが帰るのは14:00頃。その後は雑務処理が控えている。クラス保育が始ってからが本番なので、まだまだリハーサルの段階だ。朝から100%出していたら1日もたない。今では朝会社についたら、メールチェックしながらコーヒー飲んで…とのんびり過ごせるが、幼稚園の朝はそうはいかない。

1年目の時にもったクラスは年長だったから放っておいても自分で教室に行き、朝の準備ができるから園庭でまっていても大丈夫だった。年少・年中(2年保育で年中から入った子もいる)の4月は戦場で、「ママァァァァァ~~~!」と泣き叫ぶ子もいれば、「…」とどうしていいかわからず静観している子もいるし、不安だからずっと先生にくっついている子もいる。色々なタイプの子がいる中で、静観している子は「ゴメン…!」と思いながらも後回しになってしまう。本当は一番見てあげなければならないと思いながらも。

朝の支度の「ハンガーにかけてあるスモッグをとり、着てきたブレザーをハンガーにかけ落ちないようボタンをとめて、ハンガーラックに戻す。」この作業がなかなか難しい。大きな要因としては①家でやったことがない②集中が続かず、次々とくる友達に気をとられる、が挙げられる。②は仕方ないとして、①の「家でやったことない」はこれに限らず、なにも家庭で教育せずに「幼稚園で教えてもらいな~!」というスタンスの家庭は多いように感じた。ボタンをとめるのも、ハサミを使うのも、幼稚園児よりもっと小さい保育園児でもできる。こどもは教えてあげればできることが多い。

そんなこんなで、登園~外遊びという激動の1時間前後を過ごし、クラス保育に入る。ここからが1年目教諭にとっての真の戦場である。

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