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読書記録 知念実希人 優しい死神の飼い方

私は犬である。名前はまだない。
某超有名小説家の書き出しのように。そういう物語の始まり方。

犬なの?と思いきや彼は正確には犬ではなく、人の魂を導く死神で、物語は彼の一人称視点で進められていく。

前回、ムゲンのiを読んでから知念先生の本が読みたくなって、前から気になっていたこのシリーズに手を出してみました。
で、思いました。本に集中する時間は作らなきゃいけなかったと。
活字を読むことでしか得られない感情があったなぁと思い直しています。私の場合、好きな本ほど一気に読みたくなるたちなので、丸一日読書に費やしたい、というところです。ちゃんと定期的に本を読む日を作ろう。うん。


さて、物語の内容をさらっとだけ紹介します。

舞台はホスピス、死神わんこの彼は関わる一人一人にまつわる事件を解決しながら、一つの大きな事件へ巻き込まれていきます。
この流れがムゲンのiに非常によく似ていました。一見関わりのなさそうな彼らが、実は大きな事件の鍵を握っている。それも、本人たちも知らないところで。

知念先生らしく、医療×ミステリーですが、設定的におそらくファンタジーにも分類されます(されるよね?)。
ジャンルがジャンルなので、カバーイラストに似合わず心が抉られるような描写や、不気味な殺人事件も起こるのですが、そこを補ってあまりある、わんこの彼の魅力があります。

わんこの彼、めちゃめちゃいいキャラクターなんですよね。カフェで一気読みしたのですが、思わずマスクの下で笑ってしまうこともありました。周りから変な目で見られてそう。

それでも最後は、ちょっと涙腺にきました。さすがに外なので泣けはしませんでしたが。
切なくて、でも心がふわっと温まる、そんな物語です。

これをハッピーエンドと言うのかは分からないけれど、でも、死ぬのがバッドエンドだなんて誰が決めたの?そんな風に思いました。


ももこ

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