異世界に浸る

本の虫、とまでは言えませんが、それなりに小説を読むのが好きです。

特にファンタジー小説に惹かれがちです。本屋に行ってまず手に取るのは十中八九ファンタジー。表紙とタイトルに惹かれて、裏表紙のあらすじを読み、気づいたらカゴに入っています。

ファンタジーというと、剣や魔法、というイメージが一昔前までは強かったようです。おとぎ話、という印象のファンタジーですね。子どもが読むもの、というイメージも根強かったようですが、ハリー・ポッターの世界的な人気により、ファンタジー小説が見直されていったようです。

ちなみに、幼い頃にハマっていたのはデルトラ・クエストシリーズに代表されるエミリー・ロッダ氏の小説でした。まさしく剣と魔法の物語ですね。ですが、中学生頃から基本的に日本人小説家の本しか読まなくなりました。今ではすっかり国産ファンタジー大好き人間です。そしてファンタジーという畑のせいなのか何なのか、本棚にいる作者はほぼ女性です。我ながら偏りがすごい。

というわけで、今回は好きなファンタジー小説たちを、おすすめ度と読みやすさも載せながら紹介してみます。
前提ですが、剣と魔法、おとぎ話という印象の小説は全くありません。存在するとすれば架空の生き物、架空の国家。魔法ではなく呪術や陰陽師、霊的な存在。生温い物語ではなく、世界設定のしっかりした、時に残酷な、ファンタジーでありながらリアルな小説たちです。
全部持っているものなので、ご興味ある方は是非お声かけください。


1.空色勾玉/荻原規子
おすすめ度★★★☆☆
読みやすさ★★★★★
和風ファンタジーの神・荻原規子氏の、勾玉三部作の一作目です。神々が生きていた頃の古代の日本が舞台。輝と闇に属する少年少女の話。
古代日本に降ろされたような感覚を味わえます。
児童書に分類される本なので、読み慣れない人でも比較的読みやすいです。
連作の白鳥異伝、薄紅天女もおすすめです。

2.RDGレッドデータガール/荻原規子
おすすめ度★★★★☆
読みやすさ★★★★☆
全6巻+番外編です。量が多いので読みやすさの★を一つ減らしました。
現代日本に生きる少女が、特異な能力によって世界遺産に選ばれる、という物語。山伏、忍、陰陽師、そして姫神と、聞いたことのあるワードがてんこ盛りの和風ファンタジーです。
荻原先生の作品は読みやすい上、基本的に穏やかに、未来に希望が見える形で終わるのが特徴かなと。

3.夢幻のi/知念実希人
おすすめ度★★★★★
読みやすさ★★★★☆
現役の医者でありミステリー小説家の知念実希人氏の小説です。ファンタジー感も強いかなと思い入れてみます。こちらのあらすじは以前お話しした通りですね。全二巻。本を読み慣れている人も慣れていない人も満足できるんじゃないかと思います。

4.八咫烏シリーズ/阿部千里
おすすめ度★★★★★
読みやすさ★★★☆☆
八咫烏シリーズというのは後付けで、「烏に単は似合わない」から始まる一連の物語です。現在までで6巻+短編集が発売。先日第二部がスタートしまして、文庫化を待ち侘びています。
物語の中心は人ではなく、八咫烏の一族。平安時代の日本を思わせるようでいて、異世界独特の世界設定がされています。
作者の意図が見えすぎる物語はあまり好きではないのですが、この人の小説はかなり計算されており、読後に裏切られた!となるのがとても楽しいです。
こちらも和風ファンタジー。6巻読む自信のない人は1巻だけでも読んでみてください。驚きすぎてもう一度読みたくなります。

5.後宮の烏/白川紺子
おすすめ度★★★☆☆
読みやすさ★★★★☆
全7巻。こちらは中華ファンタジーです。
帝の妃でありながら夜伽をすることのない特別な王妃・烏妃と、帝の物語。
不思議な力を持つ烏妃が、後宮の謎を解き明かしながら、やがて自らの謎や世界の謎に気づいていきます。
しっかりとした連作が好みの方には向かないかもしれませんが、空き時間に少しずつ読み進めるにはぴったりの本です。

6.狐笛のかなた/上橋菜穂子
おすすめ度★★★★☆
読みやすさ★★★★☆
ここから怒涛の上橋菜穂子ラッシュが続きます。仕方がないですね。私の神なので。
近年連作が多い上橋先生には珍しく、一冊完結の小説です。
舞台は日本。勝手に平安〜室町時代あたりを想像しています。
捉えられ、呪力を授けられた麗狐と、狐を助けた少女の物語。後の小説にも共通しますが、この人の小説は、独特な設定の、いかにもファンタジーといった異界や術使いが出てくるにも関わらず、政治、人間関係など、圧倒されるものがあります。
小説初心者にも読みやすい本です。

7.守り人シリーズ/上橋菜穂子
おすすめ度★★★★★
読みやすさ★★★★☆
「精霊の守り人」から始まる、全14巻の物語です。上橋先生の小説の中では最長のものであり、代表作の一つ。
女用心棒のバルサが、異界の卵を宿らせた王子を救う物語。
異界、呪術、未知の生物、架空の国家など、ファンタジー要素てんこ盛りですが、たしかに人が生きているようなリアルな感覚があります。
全14巻とはいえ、一部の連作を除けば1話完結型なので、途中離脱のしやすい本でもあります。好きな巻は2巻「闇の守り人」。読者の支持が高い巻です。
強い女性はいいぞ。

8.獣の奏者/上橋菜穂子
おすすめ度★★★★★★★★
読みやすさ★★★★☆
人生で好きな本1位タイの物語です。多分永遠に好きです。何らかの特殊能力や異界が出てくることの多い上橋先生には珍しく、そういったものがほぼ出てきません。存在するのは架空の動物と架空の国家。政治に巻き込まれながら、自身の願いと現実に向き合い続けた女性の物語です。この本も今更何も言うことがないですね。紹介済みですし。文章書きながら読み返したくなってきました。
全4巻+番外編。一旦2巻で物語が終わるので、そこまで読んでみるのもありかと思います。

9.十二国記/小野不由美
おすすめ度★★★★★★★★
読みやすさ★☆☆☆☆
何も言いません。読んでください。本当にそれしか言いたくない。
事前情報一切なしで読んだ2年前に心を鷲掴みにされました。圧倒的な世界観。
強いて注意事項だけ挙げるとするならば、一番最初に刊行された0巻はファンタジーではなく完全にホラーなことと、連作の1,2巻もほぼずっと地獄であること。
0巻を読むタイミングは最初以外にもあるので、ホラーが苦手な方は要相談してください(私は何も知らずに0巻を最初に読み、深夜3時に読了し、眠れぬ夜を過ごしました)。1,2巻の地獄は避けては通れません。頑張ってください。ネズミが出てくるまで頑張って読んでください。私は途中20回は心が折れかけました。
つまり最初の3巻を乗り越えるのが大変なのですが、そこだけ頑張ってください。海を渡れば、十二国記の壮大な世界が見えてきます。私たちは海客なので(伝われ)。
全15巻と巻数が多いことと、最初の山越えが果てしなく大変なこと、漢字の読みが難しく、単語も難しく、設定も難しいので、小説初心者の方には胸を張っておすすめはできませんが、容赦のない壮大な物語が好きな人には真っ先におすすめします。もう一回真っ新な気持ちで読みたい。私が記憶喪失になったら、記憶を取り戻す前に獣の奏者と十二国記を読ませてください。頼みました。

新しい物語を読みたいなぁと思うものの、すでにある本たちが愛しすぎて、なかなか次に行けないというのが本音です。まだまだ読みたい本は沢山あるはずなんですけどね。

さて、とりあえず最近のブームは十二国記です。明日でシリーズ刊行31年目に突入する模様。素晴らしい。
本を語り合える人が増えますように。


ももこ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?