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読書記録 知念実希人 黒猫の小夜曲(セレナーデ)

僕はネコだ。まだ名前はにゃい。
やっぱりそういう始まり方です。

前作、優しい死神の飼い方では、わんこに扮した死神が奔走していましたが、今作はにゃんこの彼が主人公。
前作との繋がりもたくさん散りばめられていますが、あくまでも独立した別のお話。連作、というよりは姉妹作、という感じです。
猫好きな人はこちらから読むのもありなのかもしれません。先にこっちを読んでからわんこの方に戻るとどんな印象を受けるのか知りたい。なんで初めてって一回しかないんでしょう。記憶を消して、今度はこっちから読んでみたい。


さて

内容の感想をうっすらと。

前作のわんこの彼は相当いいキャラクターでしたが、今作のにゃんこの彼もかわいい。二人(二匹?)いることで、死神に共通する意識と個々の性格の差が読み取れて楽しいです。

で、ストーリーの方ですが、前作より不気味度は増している気がしました。事件の不可解さもなのですが、主人公と行動を共にする彼女が何者なのかが分からないのです。絶対事件に関係あると思うんだけど、その誰なのかが分からない。
のですが、実は途中で気付いてしまいました。そして、気付いたことで余計混乱しました。で、数十ページ先で、やっぱりにゃんこの彼も同じように混乱していて笑ってしまいました。いやもう、知念先生すごいなぁ。手のひらで転がされている気がします。

こちらの本、舞台は製薬会社です。薬学系の友人が瞬時に何人か思い浮かびましたので是非読んで欲しい。怖いし、不気味だし、心臓がきゅっとなる場面もありますが、全部にゃんこの彼が癒してくれます。可愛いねぇ。

前作と同じく、切なくて、でも心が温かくなる物語です。
ところでこのシリーズ、最近新作出たんですよね。ハードカバー…。早く文庫化して……。



ももこ


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