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漫画作りを海外へ伝える

このところ英語でやり取りする機会がありまして。
海外に住んでいる漫画家志望のかたとのやりとりで、互いに母国語は英語ではないけど英語でコミュニケーションをとっています。
なまってた英語力がまた鍛えられて嬉しいかぎりです。(*^-^*)

彼女は日本語で漫画を描いて投稿サイトへ公開していました。
しかし編集者からなんのリアクションももらえず落ち込んでいるようにみえました。
まず海外の方がネイティブに近い日本語で漫画を作るということに恐ろしく高いハードルがあると感じます。
わたしも一度自分の漫画を英語訳して作ろうと思ったことがありましたが、擬音やフランクな表現のバリエーションについての知識が不足しすぎていて挫折しました。。
そこに挑戦しようというのですから、日本に住む日本人の漫画家志望のかたよりも何倍も難しいことをしようとしているな、と。
少しでもその情熱の助けになるならと、現在漫画の世界で「文法」といわれるような部分を伝えようと思いました。

◆英語で漫画の作り方を説明する

英訳するときに強く感じますが、普段使っている漫画用語はそのままでは理解しにくいです。
彼女が最も驚いていたのは「ネームとは何か」でした。
ネームは下書きのことだと思い込んでいたようですが(これは日本人の漫画家志望者も勘違いしやすいところだと思いますが)、厳密には下書きを含む漫画の構成のことだと思っています。
(なんでネームっていうんだろね…。(´_ゝ`)わかりづらい。。)

担当付きの漫画家志望さんがよくネームが通らないと嘆いていますが、なぜネームが通らないかというと、下書きが汚いからとかでは決してなく、漫画の構成がまずいから。
ストーリーとして不自然な箇所がある、説明が不足している、逆に無駄に長い、などなど、話を読む上で読者がひっかかりを覚えるだろう部分をなくすことがネーム修正の目的です。
そこをクリアできて初めて、ペン入れなどの原稿仕上げ作業に進むことができるのです。
ひっかかりをなくすためのアプローチ方法をたくさんストックしている作家さんが、いわゆる「ネーム力がある」かたなんだと思います。

◆効率を考える

漫画ってどうしても完成までに時間がかかります。
話の構成を練って、コマ割り、セリフ配置、下書き、ペン入れ、トーン、効果…一人でやろうと思ったらなおさらです。
でも時間をかけすぎると、一生のうち残せる作品数が少なくなってしまいます。
どこはスピードアップできて、どこには時間をかけるか。
ポイントを絞ってはじめて効率化が叶うと思います。

私の場合はとにかく「ネームに時間をかけすぎない」ことに重きを置きました。
下書きもたいして丁寧には描きません。アタリくらい。
それよりも会話や場面、コマがスムーズに流れることを重視しています。
ペン入れできるくらい綺麗に下書きしたって、編集者と話した後どうせ直すんですから…(;^ω^)

修正が素早くできるということは、モチベーションの維持にもつながります。
何度も修正させられるうち、下書きにかける労力が無駄だな~と思い始めます。
綺麗に描けた下書きほど、修正がかかると悲しくなります。
だから修正が入っても惜しくないクオリティで出します。
編集者も、よっぽどの素人でなければ下書きが綺麗に入ってないと読めないなんてことはありません。
別でキャラ表をつくって添えておけば、脳内変換して読んでくれます。

◆日本の漫画作りって深い

漫画作りについて英語で説明していくうち、日本の漫画ってなんて作り込まれているんだ…!と再発見しました。
シンプルに的確にしかも刺さるように作る言葉選びのセンス、次のページをめくりたくなる工夫、目線に沿ったフキダシ配置、ダイナミックなのに迷わないコマ割り…
どれをとってもかなり洗練された技術の結晶だなと。
全ては読者を漫画の世界に没入させて楽しませるための仕組み。
日本人でさえこれらの技術を習得するのに相当な時間を要するのに、それを海外のかたが挑戦しようというのですから、尊敬しかありません。

彼女には是非挑戦を続けてほしいなあと思います。
わたしも英語で漫画が作れるくらい英語ネイティブになれたら仕事の幅ひろがりそうだな~(*'ω'*)

彼女へ漫画作りのあれこれをシェアしたときいただいたリアクションを貼っておきます。(海外なので左から読むよ)

わからなかったことがわかると嬉しいよね(*^-^*)
こういう素直な反応がいただけてわたしのほうも大変ありがたいです!
伝えてよかった、伝わってよかった。
やっぱり漫画ってすごい!!

わたしの好きを詰め込んだマンガですが、届いてくれることを願って。応援いただけると本当に嬉しいです。