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#物書き

それらはコインの裏表 何とかならない時代のシェイクスピアや近松

今朝「おすすめされていた作家さんの本を買いました」というメールをいただいて、なにかが繋がったような、不思議な気持ちになったのは、 ここ最近、このnoteを思い出していたからかもしれません。 ちょうと一年前に書いたものです。 振り返りネタが続いてしまっていますがサボっている訳ではない(笑) 赦しと復讐とコインの裏表のこと。 シェイクスピアとか近松とか己のことや、 いくつかの本と舞台の話とかと併せて、なんか憑かれたような気持ちで書きました。 ちょっと長いけど、ほんま、いろいろ

梟 『みみずくは黄昏に飛びたつ』で川上未映子が村上春樹に訊く

村上春樹を好きじゃなかったり 特にめっちゃたくさん読んだわけじゃなかったり、 でも村上春樹を好きという人に出会ったり身近な人が村上春樹を好きだと知ったときに、「あー……!」とか「ぽいー!」とか思ってしまうのはなんでやろう。 でもこれって「あるある」なのではないか。 うん、わたしたちは、「村上春樹的なもの」に縛られているような、 つまりは自らそうしているような気もする、つまり、すごい、すごいなあ、すごいよなあ。 個人的には好きでない。嫌いでもない。でも好きではない。 一言で

夢になるといけねぇ 寄席写真家橘蓮二の目にやられろ

学生時代の劇団の先輩に文楽のカメラマンが居た。 最もお世話になった先輩の一人だ。 でも当時特に伝統芸能に詳しかったとか好きだったとかいうことはなかったので驚いた。 学生時代ぶりに「Momo、歌舞伎とか落語とか好きやん? 大衆演劇とか。実は私今ね……」とか連絡が来て、会ったり、話を聞いたり、頻繁にお茶したりしていた。 「おじさんたちの撮るの、なんか違う気がするねん。お洒落に撮りたいねん」 ということで公演中の楽屋にも同行したりしたが、わたしはド緊張。 お会いしたうち、お一人はも

青い糸

「人生にはいろいろある。でもなんとかなるし、生きていたら、いつか許すこともできる」 「それでも、その生活のあり方の延長線上に、私たちが周りの人にどんなに心を砕いてもどうにもならない地平が、政治によって権力によって現れてしまうのだ、ということを書きたいと思いました」 Yahoo!ニュース本屋大賞2021ノンフィクション本大賞の受賞作、 『海をあげる』の著者・上間陽子さんによる記念スピーチからの抜粋です。 昨日、この本の担当者である筑摩書房の編集者がTwitterにページ

大阪の物書きが始めた東京の本屋さんのこと 8月の更新と御礼

「本屋・桃花舞台」 startした5月GW以来、 いろんな方に訪れていただき、 お買い求めいただいたり、みていただいたり、 ほんとうにありがとうございます。 「湯島をぶらぶらしていて思い出して、Momoさんのnoteをみて気になっていた本を、手にすることが出来ました」とお伝え下さった方も居て、 ありがたくうれしいことばかりです。 自己紹介がわりの手書きペーパーもたくさんの方がお持ち帰り下さり、 うれしいです。 改めての御礼と、今月8月の更新の、お知らせをさせて下さい。

祭 ある本と盆踊りと人間と

若竹千佐子さんの『かっかどるどるどぅ』を読んだ。 2017年下半期の芥川賞受賞作『おらおらでひとりいぐも』の著者は 前作でタイトル通り老いた人の孤独からの「ひとりで」を選んだ生き方を描いた。 第二作目となる本作にも、同じく孤独を抱えた人々が登場する。 でも彼女たちや彼らが思ったことは選んだのは「みんなで生きる、生きてみよか」だ、と思った。 生きづらさを抱える人たちが集い、皆でご飯を食べ、たくさんの会話を交わす。 その中には戦争もコロナもウクライナもロシアもアメリカも、そして生

ON THE ROAD

劇場に行くと思いもよらない瞬間がたくさんある。 思いもよらない、思いもしなかったような時と瞬間にたくさん出会う。 一言でいうと「一期一会」なんだろう。 けれど、そんな簡単な、言い切ったような言いきれたようなことで言いたくないな、という気持ちもある。 でも、そのことそのとおりで、「一期一会」、ヤバい、エモい、ヤバい、 ふざけていない、これしかないし、これでいいような気もする。 変に理屈をこねたり能書きに酔って押し付けたりするよりも、もしかしたら、ずっと。 ということは、さまざま

針と種 100分deフェミニズム

『別冊NHK100分de名著 フェミニズム』 お正月に放送された番組が書籍化したもの。 本に、読むものにしてくれ、出してくれて、本当によかった、と思った。 すこし語らせて下さい。 番組を観たときはしみじみと2つの気持ちになった。 100分にまとめるにはテーマも情報量も多すぎる。 収録は8時間を超えたとのツイートも見た。 「これはまとまらへんやろ、1テーマ(1冊)でもまとまらへんやろ」 4人の出演者がそれぞれこのテーマに沿った1冊を紹介する、というかたちで進む

人が本当のことを口にするとき

パソコンのキーボードを叩きながら書くとき、 わたしの場合、アタマ(思考)より指先が先に走りアタマは後から追いつく。 スマホから文字を打つとき、わたしはいまだに慣れないからか、 アタマ(思考)は指の運動と共にゆっくり動く。 ということで今日はゆっくり書きたいな、 まとまらないけれどまとまらないままで書いて置いておきたいなと思い、スマホからぼちぼちと打った。 だからnoteでなくインスタに……と思ったが長くなり過ぎたので、やっぱりnoteにした。そのため、キーボードで整えた。 め

イワシの頭 川上未映子『ヘヴン』

のっけから嫌な話をするがここ最近いやがらせにあった。 ちいさなものが重なったりした。 「でもこう感じるのもわたしの主観やもんなあ」とも頭の中で考えてしまっていた。 そもそも慣れている、とも思ってしまっていた。 ちいさいころは容姿というか体のことや他のいろんなことを理由に除者にされることが少なくなかった。 そうしていろいろ自分を守るためやつくるためにやってきたいろいろの結果、それでも嫌な目に遭ったり「いろんなこと知ってる人」という風にしか見られなかったりもして悔しさを感じたりも

『東京ノスタルジック百景』を読み考えた 残すこと伝えることかかわること

ドキリとした。 「ここもまた、詳細は省くが、存在が困難な状況になってきている。 「さびしいですね」と、ふとこちらがつぶやくと、社長がすぐさま一言。 「じゃあニイチャンが、普段からもっと飲みに来てくれたらよかったじゃないかよ(笑)」」 (『東京ノスタルジック百景 失われつつある昭和の風景を探しに』・フリート横田・世界文化社・008「神田小路」篇より) 消えてしまってからでは遅い。 「じゃあなんでもっと足をはこばなかった?」 引退する役者をラストの一か月観続けた時に業界に対

皮と鬼、『入れ札』と『羅生門』

菊池寛の掌編小説『入れ札』を薦めた。 「文学中年」を自称するその人は 性格が悪いらしい。弱いらしい。 そんな自分が嫌いじゃないらしい。 信用できる(笑) たぶん、 剥いでみたらちょっと似てるような気がする。 と、やりとりをしていて思うようになった。 だからなんとなく思い出して薦めてみたところ、 すぐに読み終えて面白いnoteを書いて下さった。 驚きと共にちょっと慄いた。 やだなあ、わしのちいささも丸裸やないか。消えたい。 でも非常にありがたいことだとも思った。いろんな意

LADIES!! AND GENTLEMEN!/『ついでにジェントルメン』

うれしい本を読みました。 タイトルは『ついでにジェントルメン』、 大ファンである柚木麻子さんの新刊です。 ここ数年、ドはまりしている作家さんなのです。 コロナが始まったくらいに偶然読んだ『ナイルパーチの女子会』で「!!」、 過去作からほぼすべてを集めて読み、 文芸誌に掲載された新作もすべて追って、 友人たちに薦めまくり、薦めた友人もドはまり(笑) 待望の新刊は、なんだか、本当に、いろいろ、うれしかった。 読みながらずっと、うん、うんうん、頷き、笑い、時にほろり、 わくわく

愛車🚲、最近観たもの📺、RT感謝、等、近況報告

元気ですか。 なんか色々心配ですね。 2020はまあなんて年だったのでしょう! 「そんな時代もあったねといつか笑って話せる日が来るわ」(by中島みゆきの『時代』)に早くなって欲しい、なるかな、なれ、なれよ! でもでもそんな2020でもいいこともあったよね。 いや、まだ今月あるよね、きっと皆にあるよね。ある! と、謎の断言をしておく。 最近またまた更新できてなくてスミマセン。 日々の仕事で書いてる文や資料でわたわたしているのは勿論ですが、 資料っぽい本を何冊も何度も何度も読ん