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七五三の娘の後ろ姿

娘がもうすぐ3歳になる。

七五三の写真を撮ってもらおうと、写真屋さんに行った。

最初に髪をセットしてもらう。

大きな鏡の前の椅子に座り、何も言わずに鏡を見つめている。

娘は髪の毛がまだ長くないので、美容室に行ったことは一度もない。

慣れていないはずなのに、もうすでに気分はプリンセスモード。(奥さんのディズニー好きが講じて、娘もプリンセスが大好きで、ある意味洗脳されているのかもしれない。)

髪の毛をまとめて、つけ毛をつけてスプレーで髪の毛を固めてもらう。

さらにいつもママにダメと言われているファンデ、チークといったお化粧までしてもらえて、いつもと違う姿に、娘は気分上々。

でも、その内なる興奮を抑えるかのように、プリンセスになりきっていた。

そして、事前に予約していた、黄色いドレスを着せてもらう。(イメージは美女と野獣のベル。)

ぼくも奥さんも、その姿がかわいくてしょうがなかった。

写真を撮って、両家のお母さんに送る。すぐにかわいい!と返信が来る。

やがて、写真を撮る準備ができたと言われたので、スタジオに向かう。

スタジオ内でも、娘はプリンセスだった。

カメラマンが指定したポーズを、完璧にこなす。

いつもはわがままでおてんばなのに、そのカメラを向けられた時は、じっとして次のポーズの指示を待つかのように、真剣な顔をしている。

その時は、パパとママの顔など目に入っていない。

撮影の合間に、ぼくらに笑いながら手を振る。

休憩の時間が来て、ドレスの裾を持って、休憩場所に行くその瞬間、ぼくはデジャヴを感じた。

どこで、この感じを味わったのだろう。

その答えはすぐにわかった。

奥さんがぽつり言った。

「なんか自分の結婚式思い出した」

そうだ。ドレスを着る奥さんの後ろ姿とクロスしたのか。

と、同時に、ものすごく寂しい感覚にも襲われる。

そうか。娘の父親として、これを見る日が来るかもしれないのか。

あと何年一緒にいられるかわからない。

それでも、娘が白いウエディングドレスを着るかもしれないその日まで、ぼくは娘を見守りたい。

そんな決意を新たにした。

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