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これからは資格よりも「チームや組織を動かせる」かどうかが大事になってくる

現在の医療・病院業界は、多くの場合患者へ提供する医療も病院の組織も、医師という資格を持った人がマネジメントを担ってきました。しかし、多くの方の価値観や仕事観が多様化してきたことによって、それも難しくなってきたんじゃないかなと感じる今日この頃です。

患者さんは、これまで医師にお任せ、命が助かれば良い!とする人が多かったように思いますが、長寿命が割と普通になってきたり、(まだまだ全然足りないとはいえ)尊厳のある死などの概念が広まることによって徐々に価値観に変化が出てきているような気がします。患者さんや患者さんのご家族の希望を叶えるため、そして湯水のように使えなくなった限られた社会保障費を有効に使うため、そんな社会的背景をもとに、身の丈に合ったそれ相応の質の良い医療を提供するというのも社会が求める医療の姿であり、そうではないものへの風当たりはますます今後強くなってきます。とすると、医師が自分の技術、知識、経験をもとに、たった一人で治療の方針を決定していくということは難しくなってきているのではないかと思います。だからこそ、チームや組織で医療をするということがだいぶ前から推奨されています。

病院やその中にあるチームや組織は、患者さんという「人」のために存在していますが、そのチームや組織を構成するのもまた「人」です。患者さんの背景も多様化しているのであれば、我々医療者側も多様化してきています。もともと資格という分断があったところに加えて、価値観の多様化が進んでくると、それらの多職種を束ねてマネジメントしていくことの難易度は増します。

これまで病院の様々な組織やチームは、医師が大きなマネジメントをしてきましたが、今後は医師であろうがなかろうが、本当に「チームや組織を動かせる人」がマネジメント職に就くべきですし、就かないとやっていけないだろうと思います。

多様な人がいるチームや組織を、ひとつの目的(患者さんや地域のために医療を提供するということ)のために、落とし所を考えて決めきり、日々の業務や改善を実行していくということに関しては、やはり資格ではなく、能力を持った適任者がやるべきです。

誤解のないように書いておきますが、医師という資格や医師の行っていることの価値を貶めようとしているのではありません。もちろん患者さんの意思を尊重した上での身体に関わる医療の決定権や責任は医師が持つべきです。私は医師がこれまで蓄積した知識、経験、技術をリスペクトしていますし、すべきだと思います。ただ私個人の印象ですが、医師は「チームや組織を動かす」というよりかは、どちらかというと「その道(病気を治す)を極める職人」という先生の方が多いんじゃないかと感じます。(エビデンスはありませんが)

そもそもマネジメントが重要だと思って努力しており、チームや組織を適切に動かせる人の人口比率は、医師だろうが、看護師だろうが、医療専門職だろうが、事務職だろうが、資格の有無に関わらず変わらないのではないでしょうか。皆様の周りはいかがですか?

だからこそ、変化が激しく、価値観が多様化している時代だからこそ、本当にチームや組織を動かしていける人が大事にされるべきですし、そこに資格という区分は必要ないのではないかと思います。「医師ではないから」とか「看護師だから」「コメディカルだから」「医療専門職ではない事務職だから」組織やチームを動かせない、動かさない、という考え方はもう過去のものです。

組織やチームを動かす技術を身につけて、すこしでも良い方向に医療を持っていこうとする人が、資格に関わらずすこしでも増えればと思います。自分もそんな力を蓄えて、自分の持ち場で毎日やれることをしっかり粛々とやっていきます。

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