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私たちにとって「人の気持ちを理解しようとする」ことは基本だと思う

イチロー選手も、青木選手も、PuANDAさんも、基本をしっかりやっていくことが重要とおっしゃられていて、これは医療従事者においても当てはまる大事なことだと最近身に染みて実感しております。

基本ができている方は、非常に強いです。

なぜなら、自分に対する周囲からの信用信頼は、基本動作の繰り返しによって蓄積するものだからです。

逆に言うと、信頼信用が崩れるときとは、基本ができていないことによるパターンで起こることが多いのです。どんなに豊富な知識があろうと、どんなに高度な技術を持っていたとしても、すべての土台となる基本ができていないということは、それらは無に帰すだけの破壊力があります。

基本ができているかどうかは、相手が最低限まともな人間であり、一緒に仕事をしても問題を起こさないかどうか、迷惑をかけられないかどうか判断するリトマス試験紙のようなものでもあります。

さて、医療従事者における基本とは何でしょうか?

解剖とか、生理とか、そういう知識レベルのことを思い浮かべる方もいるかと思いますが、自分がここで言及するのは、もっともっと前の話、すなわち社会人としての基本です。

国家資格を持って現場に出てきている方であれば、知識的な基礎はある程度持ち合わせていらっしゃると思いますし、現場で必要になってくる専門知識などは、勉強しようと思えば後からいくらでもできるものです。

イチロー選手や青木選手は、スポーツ選手ですので試合に勝つための基本という文脈でお話をされていたのだと思いますが、医療従事者における「勝ち」とは何でしょうか。

それはおそらく、顧客である患者さんのニーズに十分応えることができることであろうと思います。医療従事者が取得している資格や、その集団である部署は、そもそもは患者さんのために存在しており、その能力や技術は患者さんのために使うべきだからです。

ただそのためには、「人の気持ちを理解しようとする」という大切でいて、疎かにされがちな重要な「基本」があります。

「今更、人の気持ちを理解しろ?小学生じゃあるまいし」と思われる方もいると思います。でも、顧客の気持ちを感じ取れない、感じ取ろうとしない人は、顧客のニーズに応えることができるのでしょうか。

これまでは同質性の中で生活できていたので阿吽の呼吸で相手の考えることも理解できたかもしれません。でも今は相手の気持ちを理解するという行為は、多様性が進んできた中では非常に難しいです。

それでも理解しようとすることに意味があると思いますし、難しいからといって諦めたり放棄する人は成果を残したり、より高度なことを身に着けることはできないのです。そもそもその応用や高度な技術を使うことは、患者さんのニーズを満たしているのでしょうか。それも患者さんとのコミュニケーションの中でニーズを引き出し、理解したうえで行使すべきものであるような気がします。

人の気持ちを慮ることができる方は、患者さんに対しても、自らが所属する組織や同僚、上司に対しても、信頼を積み重ねることができます。

人の気持ちを考えて行動できるかどうかは、自然にできるようにはならないものだと思います。生まれながら、あるいは育ちの環境の差はあれど、自らが意識して、他者と対話し、他者を理解し、他者を受容しなければ身に着けることができない能力です。大人になり社会人になって病院で勤めるようになって、ある程度人間として固まってしまった後、というのは相当難しいです。

経験年数を経た人に対して、「人の気持ちを考えろ」と注意するのは、未就学児や小学生に対して教師が話をしたりするようなことなので、注意する側もしたくないですし、注意される側もプライドが邪魔して心に浸透しにくいものです。

できていたとしても、年齢を経るにつれて、意識しないとできなくなってくることでもあります。立場が変わり、考えが硬直化してきて、他人の立場に立って考えるという今までできていたことができなくなってくるという可能性もあるので注意が必要です。日々自分は注意を払いたいと思います。

どんなに新人でも、どんなに役職が高かったとしても、人の気持ちを考えるという基本の重要性は変わりません。経験年数を経るにつれ、求められる成果や立場、役割が変化していったとしても、この基本を身に着けていない状態では顧客も周囲の人間には迷惑でしかないと思います。

この基本に、流行り廃りはありません。どんなに技術が発展しようとも、どんなに世界が変わろうとも、どんな仕事でも、その仕事をどこでするにしても応用が効きます。顧客であろうが同じ組織に所属する仲間であろうが、人間相手で仕事をしている以上、この基本の重要性は変わらないものです。

ということで、自分の持ち場で粛々と基本技術である「人の気持ちを理解しようとする」をやって、行動していきましょう。

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