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きんぴらごぼうは、私を救う

わたしは、ゴボウを『ささがき』にしている時間が好きなんです。
料理が好きなわけではありません。無性に『ささがき』がしたくなるときがあるのです。

なぜなら、そのあいだは没頭し、頭の中が空っぽになっているからです。無の状態なんだと思います。いわゆるゾーンに入ったということなのかもしれない。

泥のついたゴボウを洗うのはめんどくさいです。事実、『ささがき』したものが売られていたりもするし。

けれど『ささがき』がしたい私は、迷うことなく、たわしで泥を洗いながすのです。それから、包丁の背中を使って皮をこそげ落とし、太い部分に、たてに数本切り込みを入れます。深さは2~3ミリほど。

ここからが本番。 包丁を寝かせてゴボウをまわしながら、先っちょをとがらせるように削っていきます。長さは3~4cm。包丁を入れる角度で、厚みを調節。左の手のひらでゴボウを転がしながら、慎重に包丁を運びます。好みの厚さをイメージして、徐々にリズムを上げていく。要領がつかめてくるころには、ひたすらシャカシャカと削れる音だけが、遠くで鳴り響いています。この時間が至福。

ふしぎなことに終わったあとは、スーッと気持ちが晴れているのです。

大量にできあがった『ささがき』は、鶏肉といっしょに料理され、きんぴらごぼうへと変身です。ゴボウは食物繊維が豊富で身体にもいい。積極的に取りたい野菜の一つです。

身体にもよくて心にも効く。今日も、わたしはきんぴらごぼうに救われている。

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