読書感想文『花芯』 瀬戸内寂聴著
タイトルは『かしん』と読むそうです。
無性にゴリッゴリの恋愛小説が読みたいと思って本屋に行き、これが目に留まって買ったんだけど、
恋愛小説というより官能小説だった。
あらすじ
「きみという女は、からだじゅうのホックが外れている感じだ」。
親の決めた許嫁と結婚した園子は、ある日突然、恋を知った。
相手は、夫の上司。そして・・・・・。
まぁ、言われてみれば官能小説ですけどね。
この『花芯』のほかに4編の短編もおさめられていますが、
全部『昭和』なんなら大正時代もあります。
私の期待してたものとは、全く違いましたが、これはこれで面白かったです。
ただ、面白いに行き着くまでが、ちょっと脱落しそうになりましたけど。(苦笑)
著者の瀬戸内寂聴さんは、テレビでしか拝見したことがありませんが、
小説は、瀬戸内寂聴さんらしいな。という小説です。
正直、テレビのまんまの瀬戸内寂聴さんが小説にひっついてる。
そんな印象を受けました。
そして、この小説を読んで、特に感じたことが
女性が恋愛小説を書くと
女性上位の話が多いんだな。って思いました。
だからこそ、女性読者にウケるんだなとも。
日本人は特に、女性が恋愛に対して受け身なところが多い。
実際、私もそうですしね。
でも、小説では、女性が男性を選ぶ立場になる。
いろんな男性からアプローチをうけ、次々に恋愛をしていく。
はっきり言って、途中、嫌悪感が湧き上がったりもしたが、どこか冷静に第三者的な目線で書いてる部分がみえてくると、物語として面白いなと思った。
裏表紙には、発表当時、著者に『子宮作家』のレッテルを貼られたとあるが、私はこの批評が悪いとは思わない。
それどころか、これこそ素直な『感想』だろうと思った。
これを、誰一人言わず、ただただ称賛しかなかったとしたら、それこそ日本の小説はある意味終わってたと思う。
おすすめか?と聞かれると、かなり微妙です。
これは、完全に『好み』だと思う。
小説好きな人、もしくは官能小説が好きな人にはおすすめかもだけど、普段、本を読まない人には、おすすめしても、途中で脱落の可能性大だと思う。
いきなり大正何年だとか、これ、いつの時代?
みたいなところから始められても、なんのこっちゃ?しかないと思うから。
ここから、ちょっと余談話になりますが
最近の恋愛小説って、やたら、病気だったり、ファンタジーだったり、ミステリーだったり、余命があったりして、『普通』がないんだよね。
私は、『普通』の恋愛小説が読みたいんだけど、
それだと、なぜか今度は女性がやたら出版業界で働いてたり、カリスマ料理研究家だったり、なぜかしっかりした職業でバリバリ働いてる設定。
専業主婦でも、途中から友達に誘われてトントン拍子に稼ぐようになる。
で、男性と知り合って恋に落ちる。
ありそうだけど、それしかないんかい!
とも思う。
これだけ無数にある本の中で、読みたいと思える本がないというのも、そりゃ売れないわなと思う。
自分じゃ書けないからこそ、作家さんには頑張ってほしいと
遠い田舎の片隅からエールを送りたい。
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