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読書感想文「その手をにぎりたい」柚木麻子著

前回の「BUTTER」と同時に購入したので、ちょっと期待はしてなかったんですけど、これは

面白かった!です。


今回もネタバレありなので、知りたくない方は写真から下はスルーしてください。

40代以上の女性

そして、20代以上の片想いをされてる女性

独身で働いてる女性

東京に住んでる女性

には、かなりオススメの本です。

では、ここからはネタバレありの内容になります。


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表題にある

鮨×恋愛×仕事でこんなに面白くなる小説あるの?

答えは、面白かったです。

まぁ、正直、鮨じゃなくてもいいっちゃあいいとは思いますが、一応、にぎりたいが関わってるというか意味ある言葉なので鮨にしたと思われますが、、、。


そして裏表紙にある

仕事に生きる女性の激動の10年、読後にあなたは何を思う?

まず、10年という長さ。

そして、昭和、平成という時代、バブルという時代、東京という場所。

これらが、すごく共感できましたね。私は。

この小説を読んで一番感じたことは

昭和に生まれて本当に良かった!と思ったことです。

あとがきを読んで驚いたのが、作者がこの時まだ幼稚園児だったということ。

なのに、作品はかなりリアリティーに溢れてます。

なぜ、この時代の10年なのか?

1番は、男女雇用機会均等法が絡んでると思われます。

今では、考えられない、セクハラやパワハラが平然と許されていた時代。

そして、バブル。

主人公は東京という場所で、どっぷりその時代の波に浸かっています。

その中で、鮨屋『すし静』が、彼女の10年を傍観者のように見つめている。

だけど、また『すし静』も変わっていくのです。

主人公は、仕事に恋に時代に、自分の居場所を求めて精一杯生きようとします。

だけど、そうすればするほど、お金は手に入るけれど、それ以外の全てが手に入らない。

主人公は、『すし静』の従業員、一ノ瀬さんに恋をしますが、一ノ瀬さんはあっさり、花嫁修行できた大将の親戚の里子と結婚してしまいます。

主人公はますます仕事にのめり込んでいく。

バブルにのって、がむしゃらに突き進む主人公。

でも、どこかで、これがいつまでも続かないとわかっている。

それでも辞められない。

とうとう、体を壊して入院することに。

そして、東京を離れ、地元に帰る決心をする主人公。

最後に、『すし静』で一ノ瀬さんと。。。

これ以上はさすがに読んでください^^;

けど、わたし的にはいいラストでした。

たまたまですが、この「その手をにぎりたい」といい、先月鑑賞したDVD「アイネクライネナハトムジーク」も10年でした。

10年ってなんなんでしょう?

20歳から30歳の10年?

1990年から2000年の10年?

ちなみに、「その手をにぎりたい」は、主人公24歳から34歳の10年です。

私自身は10年というと

やはり1990年から2000年の10年が一番時代を感じる10年だったと思っています。

政治も経済も社会情勢も、テレビ番組、音楽、カルチャー、全てが変わった10年だったと思います。

この10年をリアルタイムで体感できたのは、本当に良かったと思う。

たしかに、今も時代はもっと高速で変化しています。

だけど、私はどうも今の時代に浸っていない感覚がする。

1990年よりちょっと前の1980年代の物語だけど、久しぶりに味わったあの時代を思い出させてくれる、「その手をにぎりたい」

ぜひ、読んでみてください。



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