見出し画像

同志少女よ、敵を撃て【思春期を育てる方へお勧めの本】

「歌われなかった海賊へ」
現在読んでいる、逢坂冬馬氏の史実を題材にした鬼気迫る文章は、臨場感溢れる。
真っ直ぐな勇気ある少年たちの物語。

逢坂冬馬氏の前作が「同志少女よ、敵を撃て」。
この本は、思春期の娘を持つ母である私にとって、毎日流れてくる今も収まらない戦争のニュースを目にする時、読後1年以上たつ今も心を揺さぶってくる本である。

主人公は少女セラフィマ。時代も違う、遠い異国の戦争を題材とした物語。
耳慣れない登場人物の名前、気持ちが重たくなることが予想される戦争小説。今までの私であれば手にとらなかったであろう本。

だが、
2021年 第十一回アガサ・クリスティー賞受賞。
2022年 本屋大賞。

アガサ・クリスティ賞では、全選考委員が満点をつけたと言う。
Audibleで見つけて、試しに聞いてみた。

豊かではないけれど、あたたかい村人たちと穏やかに暮らしていたやさしい少女。セラフィマ。第二次世界大戦でドイツの侵攻により母と村人達が惨殺された。

「生きるか、戦うか」をつきけらる。怒りと復讐に突き動かされ、狙撃兵に。この衝撃的な始まりから、もう、物語から離れられなくなった。

戦地に行くこと、人を殺すことにとまどいながらも、厳しい訓練に耐え抜き、エリートとなったセラフィマ。激しい戦い、極限の判断。仲間や友人の死、自らも多くの人を殺していく。

自身も深く傷つきながらも、多くの人の人生を狂わせたことに、戦後も長く苦しむ。。。

戦争の体験は、価値観と生き方を大きく変える。
この本は、自分の娘が戦争の渦中にいるという気持ちになり、自らの価値観をもゆすぶられる。

ごく普通のかわいい少女が、敵兵にも恐れられる狙撃兵となり、大人をおとしいれ、多くの人の命を奪っていく。

我が家の同世代の娘と、セラフィマ。セラフィマとその同志の女の子達。置かれる環境により、生き様は大きく変わる。

折しも、私がこの本を聞き始めた頃、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まった。
ウクライナは平和で美しい街だったと知り、ウクライナが一変していることに衝撃を受ける。その時、この本の登場人物が重なる。
ウクライナの方々はもちろん、ロシア兵士やそのご家族、そして今も戦火の中にある方々を思わずにはいられない。

「歌われなかった海賊へ」を読み終わったら、もう一度この本を読もうと思う。

「歌われなかった海賊へ」読了しました!


この記事が参加している募集

読書感想文

応援、よろしくお願いします🍑