北へ...... 11

蓋を開ければなんてことは無かった。
いや、何もしなかった。

「はぁ......」
「どうしたの?ハヤト君」
「いや、安堵のため息だよ」

つくづく、自分は不幸だと感じた。
訳の分からないままこうして働かされ、弄ばれているのだから

「そろそろ県境だなぁ」
「道の駅寄ってかない?」
「一応俺達逃走中なんですが?」
「背に腹は変えられない。っていうじゃない?」

優奈はまたわけのわからない事を言った。
だが、何も変わらない雰囲気が逆に嬉しかった。
おかげで気持ちを前に向けられる。
そんな気がした。

「お昼ごはんどうする?」
「御所望は?」
「うーん。やっぱりカレーかな」

優奈の御所望に「アハハ」と返す。子供のように怒る優奈。
やっぱり、このくらいがちょうどいいんだ。

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