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「おすすめの映画は?」

「Words on Bathroom Walls」
邦題だと「僕の頭の中の落書きたち」。

コロナ禍が始まってからアニメや映画を1ヶ月何本も観ることが習慣化して2年以上経過した。

単純に色んな作品に興味があったことがきっかけではあったけど、だんだんとそれは「消費」行為のように思えてきていた。

面白みのない自分にとって、沢山の、多様なジャンルを観て、感じることは何か自分の中でも変化が現れるのではと浅はかな気持ちでいたけど、ただただ自分のつまらなさが露呈しているような感覚もあった。

記録として見た映画をインスタグラムのストーリーに何気なく載せていく日々が続いていたことで、「映画好きな人」「映画に詳しい人」みたいな洋服を纏ってしまい、人からおすすめの映画はあるかと聞かれることも増えた。

人に薦められる映画ってあまり無いなと。
今までの人生で一番色々な作品に触れているはずで、知らなかった世界も知るようになったはずなのになんだこれはと驚いた。

もう映画の記録を残すのは自分に見える世界だけにしようと決めていたけれど、ある日友人に「知りたいとか、経験値として観たいと思えること、実際に沢山見ていることは少なくとも自分には出来ないよ。」と言われて、変に重々しく考えていたことが目の前から消えていった。

そして最近観た映画が「Words on Bathroom Walls」。
前からタイトルだけ知っていて、何気なく目に留まって再生ボタンを押した。

人に薦めたいと心の底から思う映画だった。

統合失調症という病がテーマになった映画。
孤独と闇が隣り合わせの精神疾患だけれど、目に見えない病故に人にも理解されにくいし、病を受け入れることがどれだけ難しいことか。
当事者にしか分からないだろう気持ちをこうしてひとつの映画で表現していることが凄かった。

人に自分の弱さを見せることはどうしてこんなに難しいんだろうかと改めて感じた。
せめてもの自分の周りの大切な人たちは、弱さを見せても大丈夫な人が近くにいて欲しいと思う。

日頃から映画やドラマ、本や音楽の感想を言語化するのはとても苦手で、自分の中に留めておくのだけれど、心に残るこの余韻を拙い言葉でも文章にしておきたい気持ちに駆られる程に、今のわたしに響いた作品だった。

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