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運転恐怖症

好きな音楽を聞きながらいつもと同じ道を走る。
代わり映えのしない職場への道のりは、シャッフルで流れてくる日替わりの曲によって、少しだけ気分を変える。自分だけの空間は、気分転換するのに最適な場所。

こんな風に思えるようになったのは、運転できるようになったのはここ半年くらい。
それまではハンドルを握ることすら出来なかった。

人を轢いてしまったらどうしよう。
そんな考えがわたしを苦しめ、その考えはパニック発作として症状に現れた。
呼吸が荒くなり、目の前が霞み、涙が溢れて止まらない。

わたしは一生車を運転できないと、悲しくなった。
「せっかく免許もってるのに」
そんな言葉をかけられるたびに、申し訳なさと情けなさで押しつぶされた。

田舎暮らしで車がないとどこにもいけない現実は、引きこもりをさらに加速させていた。

主治医に症状を話し、頓服を処方してもらい、運転する30分前に薬を服薬した。
だんだんと薬の効果もあって症状が落ち着いていき、運転できる距離が増えていった。

毎日の運転練習はとても怖くて勇気のいることだったけど、自由に運転することができるようになった今、あの時頑張ってよかったと心から思った。

今日も好きな音楽を大熱唱しながら、ちょっとだけ遠回りして目的地に向かう。


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