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14 完結:シバイヌモモの老人観察日記 ウメちゃん ハナちゃん編

優勝賞品が本物の玉手箱だったら・・・


 さてこの地区あげてのビッグイベントのコンテストでございますが昨今の流行り病の中 実施できるのかどうかは不明でございます。それでもウメちゃんとハナちゃんはちょっとおしゃれをして散歩を続けております。

『ところでさ コンテストって言うからには優勝もあるんだよね。優勝賞品は何だと思う。』
ウメちゃんは優勝する気満々のようでございますよ。
『優勝賞品なんて言ったって シニア向けの賞品なんぞ たかが知れてるわね。血圧計とか万歩計とかだね。でもひょっとすると うんと奮発して徘徊老人防止用GPS付きペンダントとか 何かその手のレンタルお試し品とかだったりしてね。』
『ハハハ 笑っておいてなんだけど 現実的すぎて怖いわ ハナちゃん。』
『もしも優勝賞品が本物の玉手箱だったりしたら大変だね。白い煙が出てきてさ、私ら年寄りの記憶を今よりもっとあやふやにしちゃう。ウメちゃんもいつか私の事忘れちゃう時が来るのかね そんな事考えたくもないけどさあ。』
『心配せんでもいいよ。何が起きてもハナちゃんの事は忘れない。約束するよ。死ぬ事は忘れてもハナちゃんの事だけは絶対死んでも忘れないから。』
『ハハハ それを聞いて安心したわ。そろそろ帰ろうかね。』
『帰ろう 帰ろう 徘徊老人と間違われんうちに そろそろ帰ろう。』
 ちょっとおしゃれをするようになった”昔乙女”達でございます。いえいえ今でも気持ちの上では十分”乙女”の資格を持つ二人は 見かけも晴れやかに 肩を並べて手をつないで歩き出しました。

今日も夕日がきれいでございます。


・・・・おしまい・・・・

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