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私の愛した青い目の猫

私は娘を授かる前に猫を飼っていた。

青い目をした、それはそれは美しい猫。
ずっと実家で猫と生活していた私は、アレルギーなのにいつか自分でも猫を飼うと決めていた。

それは運命の出会いで、私は漢方を片手にその美しい猫を迎え入れた。ちなみに、漢方は驚く程成果を発揮した。

猫は今まで飼ってきたどの猫より優しく、悪さをせず良い子で、驚く程美しかった。

そして半年が経ち、去勢手術の検査で運命は残酷な事実を告げる。私の愛する猫はFIPと呼ばれる致死率99%の病気を発症していた。

それから暫くして美しい猫はご飯を食べられなくなった。宣告されたよりずっと長く一緒にいられたし、勿論色々な症状が出てしまったけれど、私の読んだ悲しい闘病記よりは苦しまずに最期を迎えたと思う。だけどやっぱり別れは訪れた。

全てを終えた時、「ほら、大丈夫」と言われた気がした。

彼との1年半は、ずっと自分以外の誰かの生命や人生の責任なんて追えないと思っていた私の人生観を変えた。


覚悟を決めたその直ぐ後に、私は娘を授かった。

もう恐ろしくはなかった。

あの青い目の美しい猫が、私はこの小さな生命と向き合い、その重みを受け止められる事を教えてくれたから。

娘よ、あなたは額縁に入った猫の絵に込められた悲しみと感謝をまだ知らない。いつの日かきっと話そう。

何故なら、あなたが娘として存在するのは彼のお陰なのだから。

RIP Roi
See you again.


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