冬の入り口と袖先

悲しくなるのは
冬だから
冬の
入口だから
寒くなりはじめの
木枯らしが吹きはじめの
冬将軍が出陣前の

この微かな冷気を感じて
まだ羽を伸ばしてたいと
私の体が言っている

冷たいなら温めてあげよう
そんな風に言ってくれる
あなたじゃなかった

重い荷物も
ちっとも持ってくれなくて
歩くスピードも
言ってから気づいて
合わせてくれるような
そんなあなただった

この冬の入り口で
思い出すのは
あの時、繋いでもらえなかった
手と
近くても触れられなかった
あなたの袖の先

だけど
だから
一番、好き。
(変わらないあなたのままで)

12NOV2020

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